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アッパーボディーも共通化

 こうした「コアマーケット」「コアセグメント」への集中は、日産が2019年度決算を発表した前日の5月27日に、ルノー・日産・三菱の3社が発表したアライアンス内での新たな取り組みがベースになっている。この取り組みも3つの柱から成る。

  • (1)標準化を従来のプラットフォームからアッパーボディーまで拡大する。
  • (2)商品セグメントごとに、リーダー企業とフォロワー企業を定め、リーダー企業が開発したマザービークルをベースに、フォロワー企業はシスタービークルを開発する。
  • (3)特定の地域を「レファレンス地域」に指定し、地域ごとにリーダー企業を定め、必要に応じて車両生産を少数の工場に集約するなど、最も競争力の高い環境で生産する。

 3社のアライアンス内ではこれまでも部品の共同購入やプラットフォームの共通化によるコスト削減を図ってきたが、今回発表された新たな取り組みは、共通化をアッパーボディーにまで拡大するものだ。従来のプラットフォームやエンジンの共通化に加え、アッパーボディーまで共通化した場合に、新型車への投資額は最大40%削減できると見込まれている。

 これまでもアライアンス内でCセグメント向けモジュラープラットフォーム「CMF-Cプラットフォーム」の開発では日産が、「CMF-Bプラットフォーム」の開発ではルノーが主導してきたが、役割分担が特に明文化されていたわけではなかった。それが今回の取り組みでは、CMF-C/DプラットフォームおよびEV用のCMF-EVプラットフォームの開発では日産がリーダー企業となる一方で、CMF-A/Bプラットフォームではルノーがリーダー企業となることがはっきりと打ち出された。

日産はC/Dセグメント、EV、スポーツの4つのセグメントに集中する(資料:日産自動車)

先端技術開発戦略でも役割分担

 また「レファレンス地域」の枠組みでは、先ほども一部触れたが、日産が中国・北米・日本、ルノーは欧州・ロシア・南米・北アフリカ、三菱自動車は、ASEAN・オセアニアでそれぞれリーダー役を務める。これらの取り組みによって、アライアンスモデルの50%近くが2025年までにリーダーとフォロワーの枠組みで開発、生産されるという。

 さらに、リーダーとフォロワーの枠組みはプラットフォームだけでなく、先進技術の開発でも以下のような役割分担を決めている。

  • (1)運転支援技術:日産が開発のリーダーを務める。
  • (2)コネクテッドカー技術:ルノーがアンドロイドベースのプラットフォーム、日産が中国市場向け開発のリーダーを務める。
  • (3)電気・電子アーキテクチャー:ルノーが開発リーダーを務める。
  • (4)電動パワートレーン (ePT): CMF-A/B向けePT はルノー、 CMF-EV向けePTは日産がそれぞれ開発リーダーを務める一方で、C/Dセグメント向けPHEVでは三菱自動車が開発リーダーを務める。

 このリーダーとフォロワーの枠組みのうち、先進技術の開発の分担については、意外性はない。電気・電子アーキテクチャーでルノーがリーダーとなるのは、電子アーキテクチャーの規格が欧州主導で決まることや、電子アーキテクチャーの開発ツールベンダーに欧州企業が多いことなどから、これも順当だと思われる。