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 やっと日本全国で緊急事態宣言が解除され、後ろめたい気分になることなく外出できるようになった。なので、ほぼ2カ月ぶりに電車で都心に出かけ、青山一丁目のホンダ本社で新型車を借りだした。それが2020年2月に発売された10代目の新型「アコード」だ。

約7年ぶりに全面改良した新型「アコード」。リアウインドーがゆるやかに傾斜したファストバックスタイルになったのが外観上の特徴だ。

 日本ではアコードの全面改良は2013年6月以来、約7年ぶりになる。ただし、最大市場の米国では2017年10月に、第2の市場である中国では2018年4月に既に発売済みで、日本での発売は米国より約2年半遅れということになる。それも道理で、新型アコードの国内での販売計画台数(月間)が300台なのに対して、米国では年間の販売台数が約26万台、中国では約22万台(いずれも2019年実績)であり、国内の計画台数は米国の約70分の1以下、中国の約60分の1以下にすぎない。国内のセダン市場が縮小している中でもホンダがアコードを国内で売り続けるのは、アコードがある意味、ホンダを象徴するモデルの1つだからだ。

 1976年に発売された初代アコードは、ホンダが完成車メーカーとして飛躍するきっかけをつくったモデルの1つであり、また米国市場を開拓した先兵でもあった。採用する技術でも、デザインでも、それまでの国産セダンにない斬新なアイデアを盛り込んできたのが歴代のアコードだ。筆者が特に印象に残っているのがリトラクタブルヘッドライトを採用した3代目アコードで、まるでスポーツカーのようなフロントデザインと、セダンとは思えない低い全高・スポーティーなデザインに驚かされた。まだ社会人になりたてのころ、友人が美しいガールフレンドをこのセダンに乗せていて、心底うらやましく思ったものだ。

スポーティーなデザインが特徴の3代目アコード(写真:ホンダ)