驚異的な燃費と残念な内装

 ヤリスで驚かされたのは燃費だ。今回の試乗では、高速道路で約30km/L、郊外の一般公道では何と約40km/Lを記録した。高速道路での走行はクルーズコントロール任せで90~100km/h、一般公道でも基本的には交通の流れに合わせて加減速しており、それほどエコランを意識していたわけではないが、この数字である。ちなみにヤリスハイブリッドのWLTCの高速モード燃費は33.4km/L、郊外モードが40.2km/Lだから、ほぼこれに近い値が出たことになる。

 だから、ぜんぜん意外な数字というわけではないのだが、実際に40km/Lの燃費を体験すると、クルマもいよいよここまで来たかと、ちょっとした感慨にとらわれる。実際に、燃費を測り始めた地点よりも、終了した地点のほうが、30m程度標高が高かったから、実力値としては、もっと高い数字を狙えたかもしれない。

 ちなみに、以前ヴィッツハイブリッドを取り上げた「『ヴィッツ』、モデル末期で大幅改良のなぜ?」のときには高速、一般道が半々の条件で、実走行燃費は22.5km/Lだった。ヤリスハイブリッドの燃費は同じ条件だと35km/Lということになり、ヴィッツハイブリッドを5割以上上回る。ついでにいえば、新型フィットのハイブリッド仕様の燃費も高速で26km/L、一般道で23km/L程度だったので、燃費という点ではヤリスの完勝である。

 それに、従来のトヨタのハイブリッドシステムでは、燃費を重視するあまりアクセルに対する反応がよくなく、クルマを思い通りに動かそうとするとフラストレーションがたまることもあったが、新開発のハイブリッドシステムは、アクセルに対する応答性が向上し、また制動時の挙動も自然で、ハイブリッドであることを意識させられることがほとんどなくなった。

今回試乗した「X」グレードの内装(写真:トヨタ自動車)
今回試乗した「X」グレードの内装(写真:トヨタ自動車)

 このようにヤリスは、前席優先の設計ではあるが大人4人が無理なく移動できるスペースを備え、走りの性能は格段に向上し、しかも驚異的な燃費性能を達成した、トヨタの底力を見せつけるクルマに仕上がっているのだが、残念なのは内装の質感だ。新型フィットが、国産Bセグメント車には珍しく室内にソフトな素材を多用して高い質感を実現しているのに対して、ヤリスはどこも硬質の樹脂製で、質感もそれほど高くなく、しかもインストルメントパネルの造形にも新鮮味が感じられない。ヤリスが主戦場とする欧州でも、Bセグメント車の内装の質感やデザインのレベルは大幅に向上しているだけに、この部分の改善は急務だろう。

■修正履歴
最初の写真のキャプションに、試乗車のグレードが「G」とあったのは「X」の誤りでした。お詫びして訂正します。[2020/04/22 13:40]

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