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 シートは、これもマツダ3から採用が始まった新世代シートで、座り心地は高く評価できる。尻の落ち着き具合や、腰のサポートも申し分なく、国産車に搭載されているシートの中では間違いなくトップレベルの性能だと思う。マツダ3よりもヒップポイントが高い分だけアップライトな姿勢が取れるので、座り心地としてはマツダ3よりも上かもしれない。SUVらしい高めのヒップポイントではあるが、それでも頭上空間にはかなりの余裕がある。1540mmというSUVとしては低い全高で、これはちょっと意外だった。実際に室内高はマツダ3よりも50mm高い1210mmだ。

 CX-30はマツダ3よりもホイールベースが70mm短いので、後席の居住性は気になっていたが杞憂(きゆう)だった。CX-30の室内長はマツダ3よりも10mm長い1830mmあり、実際に後席に座ってみても、足が組めるほどの余裕はないが、大人2人がけはまったく問題ない。頭上スペースがマツダ3よりも広いこと、マツダ3よりも前席下への足入れ性が良いこと、それに後席のヒップポイントが前席よりも高く設定されて見晴らしが良いこと、リアドアの窓の面積が広いので閉塞感がないこと……、などのために、後席の居住性はマツダ3よりも確実に高い。

 荷室寸法もほぼマツダ3のファストバックと同等で、一クラス下のCX-3に比べるとかなり大きくなっている、CX-3では荷室の狭さに不満を抱くユーザーがけっこういたようで、CX-30では荷室スペースの拡大に気を配ったようだ。このように、室内スペースや荷室スペースの観点から見ると、ファミリー向けにはマツダ3よりもCX-30のほうが向いているだろう。逆にいえば、CX-30の存在があったからこそ、マツダ3(ファストバック)は思い切りデザインに振った「4ドアクーペ」的なキャラクターにできたのだといえる。

踏み始めからの高いトルクが魅力

 それでは走り出してみよう。エンジンを始動してまず気づくのはゴロゴロという独特のエンジン音だ。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのちょうど中間のような感じで、まさにガソリンエンジンでありながらディーゼルエンジンのように圧縮着火するSKYACTIV-Xらしい音だと思った。

 そして、走り始めてすぐに感じるのが、アクセルペダルの踏み始めからすっとすばやく立ち上がるトルクだ。SKYACTIV-Xは通常のガソリンエンジンよりも低速からスロットルバルブを開き気味にできるので、アクセル操作に対する応答が早いという特徴をそもそも持っている。

 SKYACTIV-Xは、広い運転領域で希薄燃焼をするのに十分な空気をエンジンに送り込むための低過給のスーパーチャージャーを備え、加速をアシストする小型モーターを備えたマイルドハイブリッドシステムと組み合わされ、さらに最終減速比も通常のガソリンエンジンに比べて低くなっている。

 だから出足のスムーズさはエンジンだけの効果というわけではないのだが、アクセルを浅く踏んだところからすぐに立ち上がるトルクの感触はこれまでのガソリンエンジンにはないものだし、通常のディーゼルエンジンと比べても、ターボラグがないことと回転数上昇の軽やかさという点で有利だ。

 エンジンが温まると、ゴロゴロという独特のエンジン音はだいぶ鳴りをひそめてくるが、それでも通常のガソリンエンジンと異なる感触はずっと続く。騒音レベルそのものはかなり抑えられているが、これはエンジンがカプセルのように樹脂製のカバーで覆われた構造になっているためで、エンジンそのものの騒音レベルは通常のガソリンエンジンより大きいのかもしれない。いずれにせよCX-30のSKYACTIV-X搭載モデルの静粛性は高い。ただしエンジン音そのものはそれほど官能的ではない。

エンジンは樹脂製の「カプセル」で覆われており、静粛性は高い。