SKYACTIV-Xの発売が2カ月遅れた理由

 そのSKYACTIV-Xだが、日本ではもともとレギュラーガソリン仕様で設計されていたものを、ハイオクガソリン推奨仕様に変更するために2カ月販売が遅れた。その顛末(てんまつ)はフェルディナント・ヤマグチ氏のこちらの記事に詳しい。変更の理由は上述の記事によると、日本のユーザーが「レギュラー仕様車に平気でハイオクを入れたりするんですよね。ハイオクを入れたらよく走るようになると信じている」(藤原清志マツダ副社長)からであり、「ハイオクを入れてるのにパワー出ないぞ! スカスカだぞ! どうなっているんだ!」(同)と言われないようにするためだったという。

 SKYACTIV-Xエンジンでは、運転するかなりの領域でSPCCI燃焼しているのだが、全開領域では理論空燃比に変更する。しかし日本のレギュラーガソリンは欧州のレギュラーガソリンに比べるとオクタン価が低くノッキングしやすい。このため、国内仕様のエンジンの圧縮比は15.0と、欧州仕様のエンジンの16.3よりも下げている。今回の変更は、この圧縮比は変えないまま、ハイオクガソリンを入れればレギュラーガソリンを入れたときよりも高い出力特性を示すようにした。最高出力や最大トルクは欧州仕様のエンジンと同じである。

意外と広い室内と荷室

 ここからは実車を見ながら説明していこう。まずCX-30の外観だが、この記事の冒頭の写真からも分かるように、マツダ3とも共通する複雑な車体側面の形状が最大の特徴だ。今回借り出したのはポリメタルグレーメタリックというマツダ3から採用が始まった新色で、基本的にはブルーがかったグレーなのだが、これまでの塗装ではあまり見られなかったちょっとヌメっとした質感が特徴だ。この塗装が、CX-30のボディ側面が織りなす複雑な陰影を引き立たせている感じがする。

 ドアを開けて乗り込むと、まず目に入るのがマツダ3によく似たレイアウトのインストルメントパネルだ。質感が非常に高いのもマツダ3と共通する。マツダ3と異なるのは、上面のパネルの色が、マツダ3ではブラックだったのがCX-30ではブルーまたはブラウンになっていること。またシートはベージュもしくはブラックの布製である(そのほか皮製シートのグレードも設定されている)。今回の試乗車はインパネ上面がブルー×シートがベージュという組み合わせで、他社ではあまり見られないものだが、筆者は非常に新鮮に感じた。

CX-30の内装。今回の試乗車はインストルメントパネル上面がブルーで、シートがベージュの組み合わせだった。(写真:マツダ)
CX-30の内装。今回の試乗車はインストルメントパネル上面がブルーで、シートがベージュの組み合わせだった。(写真:マツダ)

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