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 皆様、あけましておめでとうございます。この原稿を書いているのはまだ2019年で実感がないのだけれど、多くの読者の皆さんは、東京オリンピック・パラリンピックがついに今年開催されるというある種の高揚感とともに年明けを迎えているのではないかと想像する。読者の皆さんにはあまり関係ないし、このコラムに表示もしていないのでお気づきでもないだろうが、じつはこの1月1日付の回で、本コラムも150回目を迎えることができた。しかも、例年は本来の掲載日をずらして1月1日に合わせるのだが、今年は普段の連載の掲載サイクル(隔週水曜日)がちょうど1月1日掲載となり、この偶然も何となくうれしい。皆様のご愛読に改めて感謝申し上げたい。

 で、恒例によって、1月1日付のコラムは今年がどうなるかを予測せよというのが編集部の意向である。予測というのはなかなか難しいのだが、筆者が注目しているいくつかの出来事について紹介していきたいと思う。

世界初の自動運転「レベル3」が実用化か?

 まず注目されるのが、世界で初めて「レベル3」の自動運転車をホンダが実用化することだ。ホンダは2017年6月に開催した報道関係者向けの技術発表会「Honda Meeting 2017」で、2025年にドライバーの関与が不要な「レベル4」の自動運転車を世界で初めて実用化することを表明するとともに、「ほぼこのまま2020年に発売する」としたレベル3の実験車両をテストコース内で報道関係者に同乗試乗させた。このときの内容はすでに「“エンジンのホンダ”が静かに方針を大転換」でお伝えしているので内容が重複するのをお許しいただきたいのだが、このときの内容から、ホンダが今年実用化するレベル3の車両のイメージを考えてみたい。

ホンダが「レベル3」の自動運転機能を搭載すると予想される「レジェンド」。Honda Meeting 2017で実験車両のベースとなっていたのもこの車種だった。(写真提供:ホンダ)

自動運転のレベル3とは

 このコラムでは何度も解説してきているのでもう読者の皆さんは耳にタコができているかもしれないが、自動運転の「レベル3」とは何か、改めて復習してみたい、現在実用化されている「レベル2」の自動運転技術に対するレベル3の自動運転技術の最大の違いは、「ドライバーがシステムの動作状況の監視や、周辺監視を行う必要がない」ことである。逆にいえば、これまでに実用化されているレベル2の自動運転技術では、ステアリングやアクセル、ブレーキの操作が自動化されていても、ドライバーが常にシステムの動作状況や周辺の交通環境を監視する必要がある。また、ドライバーがシステムを監視する義務を忘れないように、ステアリングに手を添えていることを義務付けているシステムが多い。

 つまりレベル2でもレベル3でも、ステアリングやアクセル、ブレーキの操作が自動化されているのは同じで「自動化の程度」は変わらない。繰り返しになるがレベル2とレベル3ではドライバーがシステムや周辺状況を監視する義務がないことが最大の違いだ。ただしレベル3の自動運転は、システムが対応できないような状況に陥った場合には、運転を人間に戻すことになっている。つまり人間は、周辺監視やシステムの監視義務はないものの、システムからいつ運転が戻ってきてもいいように備えていなければならない。

 しかし、この「システムからいつ運転が戻ってきてもいいように備えている」という条件を満たすのは簡単なことではない。コーヒーを飲んでいたり、新聞を読んでいたりしたら、すぐに運転に戻るのは難しいし、そもそも、それまで運転をしていなかったのに、クルマから「運転を代わってください」と言われて瞬時に状況を把握し、適切な運転動作をするというのは現実的には不可能だろう。このため完成車メーカーによっては「レベル3は非現実的」というところもある。