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 ようやく、というべきか、やっとマツダの「マツダ3」に乗ることができた。発売されてからすでに半年以上経っているし、しかもその後、新世代商品の第2弾である「CX-30」も発売されてしまったから「今更」という感じなのだが、それでもマツダが考える新世代のクルマの考え方がよく分かって有意義な試乗だったと思う。

今回試乗した「マツダ3 セダン」の外観。ファストバックより保守的とはいえ、側面の複雑な曲面は他車では見られないものだ。

歩くように走る

 マツダがマツダ3を開発するときに意識したのは「歩くように走る」ということだったという。マツダ3を第1弾とするマツダの新世代商品で採用している車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE 」では、人間が歩くときに、知らず知らずのうちに無意識に発揮している「バランス保持能力」を最大限に発揮できるようにすることが狙いだった。

 この「バランス保持能力」を発揮するためには、骨盤が立ち、脊柱がS字カーブを維持する必要がある。そのうえで、この骨盤に、人間の足と同様にクルマが路面からの力を滑らかに伝え、骨盤を連続的に滑らかに動かすようにすることが求められた。では、骨盤に路面からの入力を滑らかに伝えるためにはどうしたらいいのか。新世代の車体構造では、以下の3点に配慮したという。

(1)ばね下からばね上に伝える力の波形を滑らかにする
(2)力の方向をブレずに単純化する
(3)4輪対角の剛性変動を抑える

 まず(1)については、シート構造を全面的に見直し、脊柱がS字カー部を保つよう骨盤を立てて着座できるようにした。そして、車体からの入力が遅れなくドライバーに伝わるように、シートと車体の結合剛性を強化している。さらに、サスペンションからの入力が人間の体に素早く伝わるように、車体構造にも新しい考え方を取り入れた。