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 このコラムの「トヨタより面白いダイハツ次世代技術、新型タントから」で紹介したダイハツの次世代技術「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の実力を、やっと実車で試すことができた。結論からいうと、半分は期待通り、半分は結論持ち越しというところだ。なんだかもったいぶっているみたいだが、順に説明しておこう。

DNGA採用の第1弾となった新型「タント」。試乗したのはターボエンジンを搭載した「カスタム」だった。

 新型タントに試乗するに当たって、筆者には特に気になるポイントが2つあった。1つが足回りの性能、もう1つが新型CVT「D-CVT」の効果だ。まず、なぜ足回りか。それはDNGAの発表会で、会場の説明員が新型プラットフォームの設計の出発点は、サスペンションアームの理想的な配置だと語っていたからだ。DNGAの開発に当たって、ダイハツは基本性能の進化を目指し、安心・安全・心地よさを追求したという。そのために注目したのがドライバーの「視線のブレ」と「頭部の揺れ」だった。同社が豊田中央研究所と共同で実施した研究によれば「視線のブレ」や「頭部の揺れ」がドライバーの疲労に大きく影響するという。

 例えば人間が歩きながら周囲の景色を見ても、同じものをずっと見続けることができる。歩くことによって頭部が揺れても、眼球がその揺れと反対の方向に動いて頭部の動きを相殺するからだ。これを前庭動眼反射(VOR)という。運転していてクルマが揺れているときもドライバーの眼球ではVORが起こっている。しかし、頭部の揺れをVORでうまく相殺できないと、視線にはブレが生じることになる。このブレが大きくなると、ドライバーは疲労を感じるという。逆にいえば、視線ブレを小さくできれば、ドライバーの疲労を軽減できることになる。

 そこでダイハツはDNGAの開発に当たって、ドライバーの頭部が揺られることの少ないフラットな乗り心地を実現できるようなサスペンションのアームの配置を目指した。具体的には、ばねを硬くしなくてもコーナリング時に姿勢が安定していることや、ブレーキ時や加速時の車体の姿勢変化を抑えること、サスペンションが沈み込んだときのトー(タイヤの向き)変化が少ないことなどを実現したとしている。