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トラックも“スケートボード”に?

 日野自動車が出展した「FlatFormer」も面白い提案だった。これは平らな薄い板にタイヤを取り付けたような外観の「モビリティプラットフォーム」で、この板の上にトラックや移動店舗、医療サービス、ヘルスケアなど様々なアッパーボディーをかぶせることで、多彩な機能を備えたサービス用車両を実現できるというアイデアだ。

 トヨタのe-Paletteは“箱”は共通で、その中身を入れ替えることで様々な用途向けのサービス用車両を実現することを想定している。これに対してFlat Formerは、より車両設計に自由度を持たせたのが特徴だ。通常のトラックに比べると人が乗るキャビンがない分、広い荷台を実現できるのが特徴だ。

 プラットフォームそのものは自動運転機能を備えたEVで、全長4.7m、全幅1.7、×高さ3.35mと5ナンバーサイズの枠内に収まっている。6つの車輪すべてをモーターで駆動する6輪駆動で、モーター出力の合計は170kW、リチウムイオン電池の容量は50kWhを想定する。

 外観上面白いのは、クルマの骨格とは思えない有機的な形状をしたフレームで、この設計には「ジェネレーティブ・デザイン」という手法を採用している。これは、ある部品に要求される項目を入力すると、その制約条件の中で最も効率的な形状を自動設計してくれるというもの。今回のフレームは、これまでのプレス成型や鋳造、鍛造といった金属部品の製造技術では実現できない形状を採用しているが、将来的には3Dプリンターで製造することを想定しているという。

 サスペンションの部分をコンパクト化して広い荷室を実現するために、フロントサスペンションには通常のようなサスペンションアームがなく、車輪を取り付けたハブが円筒形の部品に沿って上下する構造を採用した。リアサスペンションも、パンタグラフのように交差するアームと水平に配置したばねによって、非常に狭いスペースの中に収まっている。構造的に見ると、大きい荷重に耐えるのは難しそうだな、と思わないではないのだが、コンセプトの提案としては非常に面白いと思った。

 今回のコラムでは一部の展示しか紹介できなかったが、全体として今回の東京モーターショーは、会場の制約や海外メーカーの不参加といった逆風にさらされたものの、展示の中身そのものは例えばコンセプトカーでも単なる見せ物に終わらず、よく考えられたコンセプトがあり、海外のモーターショーと比べても、1つひとつ見ごたえがあったと思う。

 次回は、近く商品化が予定されている車両や、部品メーカーが展示していた注目技術を紹介する。