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一見移動サービス用車両だが……

 スズキも今回の東京モーターショーに、座席を向かい合わせに配置した自動運転EVのコンセプト車「HANARE」を出展した。この車両もサービス用⾞両の“お作法”に沿って、前後には向かい合わせにシートを配置し、室内の側⾯には⼤型のディスプレーを配置している。側面に屋根の⼀部も⼀緒に上⽅に開く⼤型のドアを配置しているほか、シートを折りたためば⾞両の前後のドアからも出⼊りが可能な設計になっているのも特徴だ。4輪にインホイールモーターを内蔵したEVで、⾃動運転を想定するのでハンドルやアクセル、ブレーキは付いていない。

自動運転EVのコンセプト車「HANARE」。自宅の「離れ」のように使えるクルマ、がテーマ。

 このように、車両レイアウトは移動サービス向けの⾞両のように⾒えるのだが、会場の説明員に聞くと、意外なことに⾃家⽤⾞を想定しているのだという。⾃動運転が当たり前の世界では⾃家⽤⾞が減るという予測が多いが、スズキはむしろ、⾃家⽤⾞は残ると⾒ている。しかしそのクルマは現在のクルマとは異なり、⾃宅のリビングの延⻑のような位置付けになると予測する。

 くつろぎながら移動してもいいし、自宅の車庫に置いているときに、文字通りの「離れ」として活用し、好きな映画や音楽を楽しむのにも使える。運転しなくてもいい時代の自家用車の価値をどこに見出すかという1つの提案だといえるだろう。