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 一方で、Honda eは車体や室内などの「上物」にずいぶんコストをかけていると感じる。例えばHonda eの車内に乗り込んでみると、2つの12.3型液晶パネルを並べた大型ディスプレーが目立つ。ドアミラーはなく、その位置には小型カメラが取り付けられており、そのカメラが撮影した映像はインストルメントパネルの左右に配置された専用のディスプレーで確認する、いわゆる「電子ドアミラー」が採用されている。フロントドアハンドルは、普段は車体に埋め込まれており、キーのアンロック操作で飛び出すポップアップ式を採用している。さらにいえば、ドアには窓枠がないサッシュレスドアを採用しているのも特徴だ。

Honda eのインストルメントパネル(上)、電子ドアミラー(下左)、ポップアップ式ドアハンドル(下右)

 これに対してID.3のインストルメントパネルは、正面のディスプレーがステアリング軸に取り付けられた斬新なデザインを採用しているが、液晶パネル自体は小さく、Honda eに比べればコストはかかっていない。またID.3のドアの取っ手やドアミラーは通常のタイプであり、他のエンジン車と変わりない。

ID.3のインストルメントパネル。小型の液晶パネルがステアリング軸に取り付けられたシンプルなデザイン(写真:フォルクスワーゲン)

 加えてID.3のインストルメントパネルやドアトリムはコスト削減のためか触れると柔らかい感触のパッドの面積が限られているのに対して、Honda eのドアの内張りは全面に布の貼られたコストのかかる造りだ。都市内移動向けのコミューターということで、動力性能や航続距離は割り切る一方、細部のデザインや仕上げにコストをかけ、小型だが先進的な新しい価値を備えたクルマを追求したものだといえそうだ。