トヨタに続き、ホンダもいよいよEVへの取り組みを本格化したな…。もう旧聞に属するのだがホンダが7月に開催した技術イベント「ホンダミーティング2019」の発表内容を見ての感想だ。ホンダミーティングは報道関係者向けにホンダの最新技術を紹介するイベントで、開催は不定期だ。過去には東京モーターショーの開催中に催されたこともあれば、春に開催されたこともある。ただ、過去の開催では同社の所有するサーキットやテストコースなどで新技術を搭載した車両の試乗体験ができる場合が多かったが、今回は残念ながらプレゼンテーションと現物展示のみの開催となった。
今回のホンダミーティングのテーマは「電動化」「知能化」「コネクテッド」の3つだが、このうち最も見どころが多かったのが「電動化」だ。具体的には、新世代のハイブリッドシステムをお披露目したほか、新開発のEV(電気自動車)専用プラットフォームを公開したのが目新しい。
ホンダの目標は「控えめ」か?
ホンダは以前から、2030年に販売台数の2/3を電動車両にする、という電動化比率の目標を掲げている。内訳は、15%がEVとFCV(燃料電池車)、50%がPHEV(プラグインハイブリッド車)とHEV(ハイブリッド車)だ。ただし、以前のこのコラム「大幅前倒しへ、トヨタがEV戦略で『心変わり』した理由」で紹介したように、トヨタはこれまで2030年に550万台以上としていた電動車両の販売台数目標を2025年に550万台以上へと前倒しした。その内訳は、100万台以上がEVとFCV、残りがPHEVとHEVだ。
ダイハツ工業と日野自動車を含めたトヨタグループ全体の世界販売台数は約1100万台だから、2025年までに世界販売台数の約半分を電動車両にする計画だ。またドイツ・フォルクスワーゲン(VW)は、2025年にEVの世界生産台数に占めるEVの比率を25%に高めるという目標を掲げる。これらの目標に比べるとホンダの電動化の目標は「控えめ」に映る。
ただ、これにはそれぞれのメーカーの地域別の売上も影響しているだろう。今後EVの普及が早く進むと見られているのは、世界で最も厳しい燃費規制を実施する欧州と、EVやPHEVなどのNEV(新エネルギー車)の導入に熱心な中国だ。欧州や中国での販売台数比率の高いVWは、燃費規制を達成するために、国内や米国での販売比率の高いトヨタやホンダよりも速いペースで電動化を進めることを迫られている。
またトヨタ自動車がホンダと違うのは上級車種の販売台数が多いことだ。世界の燃費規制はCAFE(企業平均燃費)という指標で評価される。すなわち、それぞれの企業が販売する車両の燃費と販売台数をかけて、その企業が販売するクルマ全体の平均を計算する「企業平均燃費(CAFE)」と呼ばれる方式だ。だから車体が大きく燃費でも不利な高級車種の販売台数が多いメーカーほど目標の達成は厳しくなる。つまり、燃費規制の達成ということだけで考えれば、ホンダはトヨタや日産に比べて電動車両を導入しなければならないプレッシャーは低い。
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