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タイヤの空気圧を自在に制御

 コンチネンタルの祖業であるタイヤでもいくつかのイノベーションを提案していた。その1つが「DynamicPressure」と呼ぶ可変圧タイヤである。具体的には走行する路面の状態に合わせて空気圧を変化させることで荒れた路面では空気圧を下げて乗り心地を向上させる一方で、良好な状態の路面では空気圧を高めて転がり抵抗を減らして燃費を向上させる。今回のイベントでは、タイヤの内部に空気圧を計測するセンサーを取り付け、ホイールにポンプを内蔵してタイヤの空気を調節する試作タイヤを展示していた。

空気圧センサーをタイヤ内に、ポンプをホイール内に内蔵する「DynamicPressure」

 ポンプの電源が気になるところだが、試作タイヤではホイール内に電池を搭載していたものの、これでは充電や電池交換が必要になる。実際に商品化する際にはタイヤの回転から動力を得て発電する装置を取り付けて電池に充電するなどのアイデアが考えられるという。

 一方、安全装備の分野でも面白い展示があった。車外と車内を同時に撮影するカメラ「Road AND Driver」だ。通常、自動ブレーキなどの機能を実現するためのカメラはフロントウインドー上部の中央に取り付けられている場合が多い。今回展示したカメラは、前方を監視するだけでなく、ドライバーの方を向いた赤外線カメラも一体化されているのが特徴だ。

前方を監視するカメラと後方を向いたドライバー監視用の赤外線カメラを一体化した「Road AND Driver」カメラ。左側の黒い円筒部分がドライバー監視用カメラ

 現在実用化されている運転支援システムは、システムの動作状態を人間が常に監視する必要がある「レベル2」だ。ステアリング操作が自動化されていても、人間は運転に気を配っている証拠にステアリングに軽く手を添えている必要がある。これに対して、例えば日産自動車が9月に発売する「スカイライン」の部分改良モデルに搭載される新世代の運転支援システム「プロパイロット2.0」では「手放し運転」が可能になっている。

 プロパイロット2.0については以前のこのコラム「ゴーン氏の“呪縛”から解放された日産『プロパイロット2.0』」で詳しく説明したのだが、ステアリングにドライバーの手を添えさせる代わりに、室内に取り付けたカメラでドライバーを常に監視しており、ドライバーが目をつむったり、横を向いたりすると警告し、それでもドライバーが視線を前方に戻さない場合にはクルマを停止させる機能を備える。

 こうしたドライバー監視用のカメラは通常、インストルメントパネル上面などに取り付ける場合が多い。これに対して今回コンチネンタルが展示したカメラはドライバーを監視するカメラも前方監視用カメラと一体化されているので、別個のカメラをインストルメントパネルに取り付ける必要がない。取り付けコストの低減につながる、インストルメントパネルにカメラ用のスペースを確保する必要がなくなる、といった利点がある。

 今回のイベントの展示は盛りだくさんで、今回のコラムではその一部しか紹介できなかったが、例えば同社が2040年に終焉を迎えると予言したエンジンの分野でさえ、多彩な技術の展示があった。現在の自動車業界は電動化や自動化という次世代のトレンドに対応する一方で、既存の技術の改良にも取り組まなくてはならない「二正面作戦」を余儀なくされている。

 当然のことながらすべてを自社で手掛けることはできない。どんな技術に力を入れ、どんな技術は他社に任せるのか、これまで以上に「選択と集中」が要求される時代になっていることを今回のイベントでは実感した。