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太陽電池を搭載したEV

 電動車両関連の展示で興味深かったのが、ドイツのEVベンチャーであるSono Motorsが量産を計画するEVの「Sion」である。この車両がコンチネンタルの電気駆動システムを採用しているという関係で今回のイベントにも車両を持ち込んでいたのだが、同車の売りものは「世界初の太陽電池で充電する量産EV」であることだ。

ドイツSono MotorsのEV「Sion」

 屋根や車体側面に248枚の太陽電池を貼り付けることで、ドイツの平均的な日照時間の場合、1日充電することで34kmの走行が可能だという。短距離の移動ならCO2をまったく排出せずに走行できる計算だ。

 もちろん通常のバッテリーも35kWh搭載しており、250kmを走行できる。同社はドイツの企業だが、車両の量産はスウェーデンのNEVSという中国資本の企業が担当することになっており、2020年中ごろからの量産開始を目指している。

 この車両に試乗してみたのだが、はっきり言って車両の仕上がりはまだまだ手作りという感じだった。ただし車体自体の剛性はしっかりしており、思ったよりも安心してステアリングを握ることができた。

 予定する価格は2万5500ユーロ(1ユーロ=130円換算で331万5000円)、生産台数は年間4万3000台を見込む。4万3000台といえばかなりの規模だ。こういうベンチャー企業が出てくるところに欧州の底力を感じるし、量産を引き受けるのが中国資本のスウェーデン企業であることには、中国資本が様々なかたちで欧州に進出していること(そういえばスウェーデン・ボルボも中国・吉利汽車の関連会社になっている)を実感させられた。

“ロボタクシー”を試乗体験

 車両の電動化と並んで今回のイベントの柱となっていたのが自動運転技術だ。筆者が楽しみにしていたことの1つが、自動運転車両の開発ベンチャーであるフランス・イージーマイルの車両に試乗することである。

 コンチネンタルはイージーマイルに2017年に出資しており、イージーマイル製の車両「EZ10」を自動運転開発プラットフォームと位置づけて、自社製のセンサーや自動運転ソフトウエアを搭載して評価に使っている。

 今回試乗したのも車両はイージーマイル製だが、センサーやソフトウエアはコンチネンタル製(一部他社製もある)だ。コンチネンタルは自社製のセンサーやソフトを搭載したEZ10を「CUbE」と呼んでいる。

ロボタクシー「CUbE」。人間のドライバーなしに低速で走行する

 CUbEは個人所有向けではなく、公共交通向けの5~6人乗りの小型バスのような車両だ。最高時速は20km程度、航続距離は80km程度という。今回試乗したのはハノーバーにあるADAC(ドイツ自動車連盟)のテストコースだ。

 走行するコースのデジタル地図を内蔵しており、GPS(全地球測位システム)の位置情報やLiDAR(レーザーレーダー)により計測した周囲の物体の形状、ミリ波レーダーから検知した周囲の物体の位置、カメラから得た周囲の映像などから、自車両の位置を把握し、道路上の決められたコースを、周囲の物体との衝突を避けながら走る。

 当然のことながら試乗は平和なものだった。なにしろ走行速度が20km程度だし、試乗コースには障害物も、他の車両も歩行者もいない。車両内にはハンドルやアクセル、ブレーキはなく、向かい合わせに6人程度座れるシートが備えられている。担当者がスタートのボタンを押すと発車するのだが、ジョイスティックのような器具を使って、マニュアルで操作することも可能なようだ。もっとも、通常のハンドルで操作するよりも、ジョイスティックで車両を運転するほうがずっと難しそうな感じがしたが……。