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車両の基本性能を向上

 DNGAの開発では、車両を構成する主要な要素をすべて刷新することで、低コストを維持しつつ性能の大幅な向上を図ったのも特徴だ。設計の出発点は安定感と乗り心地を最優先にしたサスペンションで、この設計を前提に、前後のサスペンションの取り付け点をスムーズに結合し剛性を高めた車体骨格を採用した。この車体骨格についてはまたあとで触れる。

 サスペンション構造や車体骨格の構造合理化、板厚の最適化、部品点数の削減、高張力鋼板の採用拡大、樹脂部品の活用などにより、DNGAを採用した車両全体では80kgの軽量化を実現したとしている。ただし、DNGAを最初に採用する7月発売の新型「タント」では商品力向上のための装備追加などでここまで軽くはなっていないようだ。

DNGAのプラットフォーム(写真:ダイハツ工業)

 エンジンも、シリンダーのボア×ストロークやボア・ピッチ(シリンダー中心の間隔)などエンジンの基本的な寸法は従来エンジンと共通だが、すべての部品を見直し、燃焼の改善によって燃費や出力・環境性能の向上を図っている。最も大きな特徴は日本初の「マルチスパーク(複数回点火)」を採用したことだろう。

マルチスパークを採用した新型エンジン(自然吸気、写真:ダイハツ工業)

 具体的にはスパークプラグでの点火が従来1回だったのに対して新型エンジンではエンジンの運転条件によっては2回に増やす。これによって燃焼室内で燃焼が終了するまでの時間が短縮されるので爆発力が有効に駆動力に変換され、出力と燃費が向上する。また、燃費の向上には排ガスの一部を吸気に戻すEGR(排ガス再循環)が有効な手段だが、あまりEGR量を多くすると燃焼速度が遅くなって出力や排ガス性能が低下する。マルチスパークの採用で燃焼が速くなるため、その分EGR量を増やせるようになったことも燃費の向上に貢献した。

 そして車両の性能向上に大きく貢献しているのが新開発のCVT(無段変速機)「D-CVT」である。これについてもあとで詳しく説明するが、CVTと歯車機構を組み合わせることで、変速比幅を従来の5.3から7.3まで拡大し、低速域ではより低い変速比で力強い加速を、高速域ではより高い変速比でエンジン回転数を抑えて静粛性と燃費の向上を実現した。