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“三つ目”のカメラを搭載

 プロパイロット1.0はカメラ1個だけで外界を認識していたので、カメラが決定的に重要なセンサーだった。これに対してプロパイロット2.0ではカメラのほかミリ波レーダーを5個、ソナー(超音波センサー)を12個備えているほか、カメラも従来の1個から一気に7個に増えている。

プロパイロット2.0ではカメラ7個、ミリ波レーダーを5個、ソナー(超音波センサー)を12個備えている(写真:日産自動車)

 ただし、これらのセンサーの中で最も重要なのは、依然としてルームミラーの裏側に取り付けられた前方監視用のカメラだ。これは近距離・広画角、中距離・中画角、長距離・狭画角の3つのカメラを一体化した“三つ目の”カメラユニットで、従来の中距離・中画角のカメラ1個の場合に比べて、より広い範囲にある物体や、より遠くにある物体を捉えることができる。

 今回のシステムでは、白線や前方の物体だけでなく、周囲のランドマークから車両の位置を検知するのにもカメラを使っており、カメラの重要性がより増しているのに対応した変更だ。さらに、このカメラと前方監視用のミリ波レーダーを組み合わせて、カメラだけの場合よりも確実に前方の物体を捉えられるようにしている。日産自身は明らかにしていないが、ドイツの大手部品メーカーであるZF製の可能性が高い。なお、残りの4つのカメラは、車両を上方から俯瞰(ふかん)したような画像を表示することで駐車時の安全性を高めるアラウンドビューモニター用だ。

ドイツZF社の近距離・広画角、中距離・中画角、長距離・狭画角の3つのカメラを一体化したカメラユニット「TriCam」(写真:ZF)

 一方、残りのミリ波レーダー4個とソナー12個は、車両の周囲を全方位で監視する役割を果たす。今回のシステムでは、単一車線の走行支援に限られていた従来のプロパイロットと異なり、車線変更も支援する。先に説明したように、先行車の速度が遅い場合にクルマの側から車線変更を提案してくれて、これを承認するとステアリングに手を添えている必要はあるが、操作自体はクルマがやってくれる機能を備えている。この車線変更のときに、移ろうとする車線にクルマがいないか、後方から近づいてくるクルマがいないか、安全を確認するために、これだけ多くのミリ波レーダーとソナーを備えているわけだ。

 さらに、車両の外だけでなく、車内のドライバーの状態をモニターするカメラを備えているのもプロパイロット2.0の特徴だ。プロパイロット2.0は「手放し運転」は可能であるものの、自動運転のレベルとしては「レベル2」にとどまる。これは、操作は自動化されているものの、ドライバーはシステムの動作状態を監視し、もしシステムが異常な動作をしたらそれを修正する義務を負う。そして、万一事故が発生した場合にも、基本的にはドライバーの責任になる。

ドライバーの状態をモニターするためのカメラを備えている(写真:日産自動車)

 このドライバー責任を明確化するため、「手放し運転」をしている間もドライバーは前方を注視し、周囲の状況やシステムの動作状況を監視する義務を負う。ドライバーをモニターするカメラは、ドライバーが前を向いているか、眼を閉じていないかを監視し、もし眼をつぶっていたり、よそ見をしたりしている場合には警告を出し、もしそれでもドライバーの状態が改められない場合には、システムを終了させる。