全7546文字

 そして今回の新型eKシリーズの売りの一つが高速道路での運転支援システムの搭載だろう。これは日産が「プロパイロット」と呼ぶものと中身は同じだ。レーダーを使わず、センサーとしてはカメラだけで高速道路の同一車線を走行する場合のアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動化したもの(ただしステアリングには手を添えている必要がある)である。三菱自動車は「マイパイロット」と呼んでいる。

 これに機能が近い運転支援システムはホンダがN-BOXに「ホンダセンシング」として搭載しているから軽自動車初ではない。しかしホンダセンシングではステアリング操作の補助が時速65km以上でしか作動しないのに対して、マイパイロットでは作動領域が時速約30~100km/hと広い。さらに渋滞時には、停止した場合でも約3秒以内に先行車が走り出すと、特にスイッチ操作などをしなくても追従走行を継続できるなど、より幅広い状況に対応できるのが特徴だ。

良好な乗り心地と操縦安定性のバランス

 プラットフォームからエンジンまですべてを一新した車種のため、いつも以上に前置きが長くなってしまったがさっそく走り出してみよう。試乗車はeKクロスの自然吸気・4輪駆動仕様である。まず外観だが、室内空間を重視するあまり、外観の差異化が難しくなっている中にあって、このフロントグリルはクルマに詳しくない人でも一度見たら忘れないのではないか。そのくらいインパクトがある。

 室内に乗り込んでみると、光沢のあるセンターパネルや、ステッチ(編み目)のような形状を作り込んだ表皮材などによって、これまでの軽自動車よりも1クラス上の質感が表現できていると感じる。軽自動車よりも上級クラスのAセグメント(1.0Lクラス)やBセグメント(1.3~1.5Lクラス)の車種は発売から時間がたっているものが多く、こうした古いモデルに比べると、質感の面では上回っている。このあたりは、販売台数が多いからきっちり5年程度で全面改良できる軽自動車の強みが出ているといえるだろう。

eKクロスのインストルメントパネル。光沢のあるセンターパネルやステッチ調の模様を付けた表皮は質感が高い(写真:三菱自動車工業)

 走り出してみても上質なイメージは続く。乗り心地は決してふわふわと柔らかいわけではなく、むしろ引き締まった印象を与えるのだが、段差を乗り越えた場合などの衝撃の吸収の仕方はソフトで、乗り心地と操縦安定性のバランスでは現在の軽自動車ではトップではないかと感じた。あと少しだけシートでの振動吸収性が向上すれば、AセグやBセグの車種に対して乗り味で完全に「下剋上」できる実力だと感じた。