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 「これじゃ、5シリーズの立場がなくなっちゃうな」。2018年10月のパリモーターショーで発表されたドイツBMWの新型「3シリーズ」を目の当たりにして、まずそんな感想を抱いた。それくらい、新型3シリーズの面構えには上級車種の5シリーズをしのぐ、強い押し出しを感じた。その新型3シリーズが、2019年3月から国内を含む全世界で一斉に発売された。

2018年10月のパリモーターショーで発表された新型3シリーズ。大型化されたグリルとヘッドランプが強い押し出しを感じさせるデザインだ

 先代の3シリーズのフロントデザインは、グリルが小ぶりで、周りを囲むクローム調のモールも細く、目頭が細くなったヘッドランプと相まって、端正な印象の強いデザインだった。それが今回は、グリルがかなり大型化されてボンネットにも回り込んだ形状となり、クロームメッキの幅も太くなった。ヘッドランプの面積も大きくなり、下端にも切り込みが入ったデザインとなって、1クラス上の5シリーズ以上に「押し出し」を感じさせられたわけだ。

先代の3シリーズ。グリルは小さく、クローム調のモールは細く、新型に比べると全体的に控えめのデザインだ(写真:BMW)

 フロント周り以上に、筆者が驚いたのは「ホフマイスター・キンク」の形状が変更されたことだ。ホフマイスター・キンクというのは、セダンのリアピラーの輪郭が根本が下端でゆるやかな曲線を描きながら前方に折れ曲がった輪郭になっているもので、BMWセダンの象徴ともいえるデザイン要素だ。これを新型3シリーズでは、これまでの丸みを帯びた形状でなく、2つの角を持つ鋭角的な新しい形状を採用した。

先代3シリーズの「ホフマイスター・キンク」のデザイン。リアピラー下端の輪郭がゆるやかな曲線を描いて前方に回り込んでいる(写真:BMW)
これに対して新型のデザインは二つの角を持った直線的なデザインになり、三角窓の後端は窓枠がなくガラスがむき出しになっているのが特徴