内装でも、空調の吹出口やナビゲーションシステムのディスプレー、シフトレバーなどの基本的な配置は変わらないものの、インストルメントパネルやドア内張りなどの部品が一新され、特にインストルメントパネルはハンドステッチのソフトパッドが採用されたり、木目調のパネルが貼られたりと質感の向上が著しい。基本的には部分改良なのだが、外観といい内装といい、全面改良に近い力の入れ方だと感じる。

新型デリカD:5のインストルメントパネル。全面的に刷新し質感が大幅に向上した(写真:三菱自動車)
新型デリカD:5のインストルメントパネル。全面的に刷新し質感が大幅に向上した(写真:三菱自動車)

 変わったのは見た目だけではない。パワートレーンでの大きな変更は、エンジンがディーゼルに絞られたことと、変速機が従来のCVT(無段変速機、ガソリンエンジン仕様)と6AT(6速自動変速機、ディーゼル仕様)から最新の8AT(8速自動変速機)に変更されたことだ。また駆動方式も、従来は前輪駆動仕様が用意されていたのに対して新型D:5は4WD仕様のみに絞られた。つまり新型D:5は、ディーゼル+8AT+4WDの組み合わせしか選べない。

 これに伴って価格帯も上がっている。従来型D:5はガソリンエンジン+前輪駆動という割安な仕様が用意されていたこともあって、価格帯は約240万~406万円と幅広かった。これが新型では約384万~422万円に上昇した。額面だけから見ると、ベース価格が100万円以上高くなったわけで、これでは従来型D:5に乗っていたユーザーが買い替えようとディーラーを訪れたときに大丈夫なのかと余計な心配をしてしまった。

実は8~9割がディーゼル+4輪駆動

 当然のことながら、当の三菱自動車はそんなことは百も承知だ。そもそも従来型のデリカ D:5の販売台数のうち8~9割はディーゼル+4輪駆動の仕様だったという。つまりデリカを選ぶ顧客のほとんどはディーゼル+4輪駆動の組み合わせに魅力を感じて購入するということだろう。

 確かにこの組み合わせを選べるミニバンは、国内では他に存在しない。唯一無二の存在価値があるということなのだろう。ただし、このあとで説明するようにエンジンや変速機の大幅改良や安全装備の追加などで、ディーゼル+4輪駆動仕様同士の比較でも新型は価格が上がっているという。グレード構成が新型になって変わっているので比較が難しいのだが、50万円程度上昇しているようだ。

 一方で、それでも廉価なガソリンエンジン仕様が欲しいというユーザー向けには、従来型のデリカD:5を、一部仕様を変更して継続販売する。こちらの価格帯はおおむね245万~322万円と新型に比べれば100万円程度低いため、価格重視のユーザーはこちらでカバーできるという計算だ。いずれにせよ三菱自動車は「キャラの立った」グレードに絞り込むことでデリカというクルマの立ち位置を鮮明にしようとしているようだ。

尿素SCRを採用

 新型D:5が搭載するディーゼルエンジンは、従来型と同じ排気量2.2L・直列4気筒の直噴ディーゼルターボエンジンで、形式名も「4N14」と変わらない。しかしその中身は、5割の部品を新設計したという。その改良の目玉は尿素SCR(選択還元触媒)の採用だろう。尿素SCRについてはこの連載の過去のコラム「復活したVWのディーゼル車の実力は?」でも解説しているのだが、排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するためのシステムである。

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