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 ホンダは新型インサイトを「シビックとアコードの間に位置する車種」だと説明しているし、実際の価格帯を比較するとシビックの約265万~約280万円に対してインサイトは約326万~363万円と60万円以上の開きがある。しかし、実際に車体寸法を比べてみると、シビックセダンの全長4650×全幅1800×全高1415mmに対して、インサイトは全高4675×全幅1820×全高1410mmと違いはわずかに過ぎず、ホイールベースも2700mmで共通だ。サイズだけではなく、車両を横から見たときのプロポーションも共通性が高いことがお分かりいただけると思う。

3代目インサイト(上)と現行型シビックセダン(下)のサイドビュー。プロポーションは非常に近いことが分かる(写真:ホンダ)

 室内に入ってみても、インストルメントパネルのデザインは異なるものの、空調の吹き出し口、ナビゲーションシステム、メーターなどの基本的な位置関係は同じだから、内部の機構はかなり共通部分が多いと思われる。さらに言えば、ドアの基本形状が同じで、内張りも共通部品を多く使っている。

3代目インサイト(上)とシビックセダン(下)のインストルメントパネル。デザインは異なるが、空調やナビゲーションシステムなどの基本的な配置は共通であることが分かる。ただしインサイトはシフトレバーがなくボタンで操作するのが大きな違い(写真:ホンダ)

シビック人気を生かさない理由

 念のため断っておきたいのだが、別にシビックセダンとインサイトで共通部分が多いのは何も悪いことではない。共通に使えるものがあればどんどん使えばいいし、それで品質の向上とコスト低減につながるのであればユーザーにとってはメリットになる。筆者がここまでシビックセダンとインサイトの共通点を書き連ねてきたのは、これほどまでに共通性の高いインサイトとシビックセダンを、なぜ別の車種にする必要があったのか、という筆者の疑問を、読者にも共有していただきたいと思ったからだ。

 セダンが売れない今の日本市場を考えると、新型インサイトも米国が主力市場になる可能性が高い。現行型シビックは米国市場で競合するトヨタの「カローラ」を抑え、コンパクトカーの市場では1位、乗用車市場全体でもトヨタ「カムリ」に次ぐ2位を占める人気車種になっている。このブランドイメージを生かさない手はないと思ったのだ。