全5877文字

2019年4月、日本の労働力人口が減るなかで在留資格「特定技能」が導入された。その一方、低賃金や長時間労働など、外国人労働者の過酷な実態が話題に上っている。日本に暮らす外国人たちは今、どんな状況に置かれ、どんな問題があるのだろうか。移民政策を専門とし、外国人支援にも取り組む鈴木江理子先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 今の日本が労働力不足であることは、ほとんどの人が合意する「事実」で、そのために「外国人材」を活用するというのが政府の方針だ。

 しかし、そうやって「労働力」のみを求める政策は、生身の人間としてやってくる人たちにとって、しばしばあまりに過酷な環境を作り出す。「人身取引」「奴隷的状況」などとして国際社会から名指しの非難を受けるに足ることが起きてきた。

 こんなことを続けたら、いずれ、日本に来て働きたいという人たちも少なくなるだろう。選択の余地がある人は別の国を目指し、やむにやまれず「日本しかなかった」というような人たちが送り込まれてくることになるだろう。それでもあえて来る人の中には「騙されて」身動きがとれないような形で来日する人が多かろうから、さらなる悲劇の温床にもなる。

鈴木江理子さんは研究のかたわら、外国人移住者の支援もしている。
[画像のクリックで拡大表示]

 ぼくたちの社会を維持するために、そんな酷いことが起きてよいはずがないので、改善すべきである。それについては、本当に議論の余地がないとぼくは思う。

 ただ、「移民」にまつわるニュースはむしろ海外の方が多い。そして、それらの多くは別の意味で「ひどい」ものだ。アメリカのトランプ政権下で親と引き離された移民の子どもが収容所に入れられるなど、ちょっと信じられないようなことも起きている。こういったことをどう考えればよいのだろう。

「たしかに、アメリカひどいよね、ヨーロッパひどいよねって思っている人が多いかもしれません。でも、一方でアメリカやヨーロッパでは市民社会の力も同じようにあって、例えばトランプ大統領の移民排斥に対する反移民排斥の運動だって、何万と人が集まります。多分、日本ってその両方がまだ成熟していなくて、多くの場合、他人事になってしまっています。でも、本当に気をつけて周りを見ればいるんですよ。近所にいたり、知らなかったけどもクラスメイトにいたり……」