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 昔は愚鈍とされていた恐竜。だが今は、鳥や哺乳類のような温血動物で、羽毛が生えていたものもいたことがわかっている。そこで、日本を含めた恐竜研究の変遷や、最新のトピックスを教わりに、日本の恐竜研究のパイオニアで国立科学博物館の特別展「恐竜博2019」の監修を務める真鍋真さんの博物館に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

「科博の恐竜の先生」である真鍋真さんは、恐竜好きの市民からしてみると、まさに「恐竜博士」であって、メディアもなにかわからない海外の恐竜ニュースがあると、かなりの確率で真鍋さんに連絡して解説を請うてきた。恐竜ニュースの背後に真鍋さんあり、ということが多い。

 何年かに一度の「恐竜博」では企画を成り立たせるために東奔西走してぼくたちの知的欲求を満たしてくれる。最近、バージニア・リー・バートンの名作絵本『せいめいのれきし』が、作中の生命史情報をアップデートして改訂版になった時、「まなべ まこと 監修」というクレジットが入ったのには「なるほどそうだよね」と膝を打った。

 真鍋さんは、ぼくたちの社会において自然史分野で信頼を集める、国立科学博物館の研究者として、なにか日本の「恐竜文化」「古生物文化」のごときものの一端を20世紀末からずっと支え続けている感がある。

真鍋真さんは、真っ先に名前が挙がる日本の「恐竜博士」の1人だ。

 一方で、研究者としての真鍋さんは、前述のように白亜紀末の大量絶滅に関心を持ち、アジアで、日本で、その時の恐竜たちはどんなふうだったのか知りたいと願っている。アメリカのヘルクリーク累層などでの調査に参加しつつ、日本でも白亜紀最後期の化石の発見を待ち望んでいる。

 こんな今の真鍋さんが、どんな道筋を通ってきたのか聞いたところ、真鍋さんはいつもの穏やかな笑顔を浮かべつつ、こんなふうに説き起こした。

「こういう仕事をやっていると、よく子どもの頃からの夢がかなってよかったですねって言われるんですよ。それは恐竜少年がそのまま大きくなって、科博に勤めて好きなことやってていいなっていう意味だと思うんですが、実を言うと僕は子どものときは全然、恐竜とかに関心がなかったんです。化石の勉強を始めたのも大学に入ってからなんで、そういった意味では自分の好きなものに出会うのは、早いに越したことないかもしれないけど、別に、子どものうちに出会ってなくても何とかなりますみたいな、そういう事例として参考にしてくださいってお話をすることがあります」