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給油所の経営は厳しさを増している

 150万社のビッグデータを活用し、新しい切り口や問題意識からこれまで知られなかった日本経済の姿を明らかにする――。今回のテーマは給油所。業歴や事業規模と業績の間にある相関関係がみえてきた。

 調査・分析は東京商工リサーチ(東京・千代田)と東洋大学の山本聡教授による共同研究の一環。データやグラフなどは東京商工リサーチの企業情報データベースに基づく。

 給油所数は1994年度をピークに全国的に減少が続いている。資源エネルギー庁の調べによると、最盛期6万カ所以上あった給油所数は3万70カ所と半減している。ガソリン需要の減少で経営は厳しさを増している。今回は給油所を経営する8418社を対象に調査・分析を実施。東京商工リサーチの調べによると、2018年の倒産は35件と5年ぶりに前年を上回り、休廃業・解散も198件とここ最近5年で最多となった。

 今回の調査企業を企業年齢でみた場合、50年以上が60.5%を占めており、業歴の長さが目立つ。中央値は53年となっており、1960年代のモータリゼーションの広がりの時期とぴたりと重なっている。

給油所運営会社の企業年齢(年、横軸)別の社数

 一方、創業10年以内は1.8%にとどまっており、新規参入は少ない。人口減少が見込まれるほか、ハイブリッド車が普及し、都市部では車離れが進む。「一定の設備投資が必要であり、新規参入の障壁は高いといえる」(山本教授)。

老舗企業は菜種油などの燃料商から転じる

 企業年齢では200年以上というケースが2017年段階で17社ある。中には企業年齢が400年以上という企業も含まれる。国内で民間による給油所の開設が始まったのは20世紀とされ、長寿企業は主力をそれまでの菜種油などの燃料商などから給油所に移している。

 200年以上の17社は株主構成から分析すると、大半はファミリービジネスとみられる。また取引先に官公庁やインフラ系を持つところが多いほか、不動産業などを兼務しているケースも目立つ。このため、地元に根ざした老舗企業とみられる。

 企業年齢別に従業員一人当たりの月間売上高の中央値でみた場合、全体としては1人当たりの月間売上高と企業年齢の関係は逆U字型の分布になっている。東京商工リサーチの進拓治市場調査部長は「参入組はセルフで始めたケースが少なくない。一方、老舗は高齢者向けの灯油や買い物の宅配や修理・リフォーム関連、生活関連サービスなどに進出するケースが目立つ」と話す。利益率の中央値では200年以上の老舗が0.3%に対し、それ以外のほうが0.6%となった。