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 150万社のビッグデータを活用し、新しい切り口や問題意識からこれまで知られなかった日本経済の姿を明らかにする――。今回のテーマは地域に根差したローカルな酒造メーカー。ビッグデータを使って分析したところ、各業界の特徴が浮かび上がった。

 調査・分析は東京商工リサーチ(東京・千代田)と東京経済大学の山本聡准教授による共同研究の一環。データやグラフなどは東京商工リサーチの企業情報データベースに基づく。地域に密着した企業に限定するため、従業員数300人以下の会社に絞った。

お酒の種類によってどんな違いがあるだろうか(イメージ、写真:shutterstock)

 寒さが厳しさを増すなか、熱かんが恋しい季節になった。さまざまな地酒を飲み比べるのもまた、楽しいものだ。

 そんな楽しみを支えるのが、各地に根を張る酒造メーカーだが、その経営はどうなっているのだろうか。ローカルメーカーに絞るため、今回は対象とする酒造会社を従業員数を300人以下に限定したうえで清酒、焼酎+ほかの蒸留酒(以下焼酎)、地ビール、ワイン+ほかの果実酒(以下ワイン)に分けてそれぞれ分析を加えた。

 社数から見た場合、目立つのはやはり清酒メーカーの多さだ。清酒は長期的に需要が低迷しているが、現在でも約1000社が全国に点在しており、今回対象とした酒類の3分の1を占める。次いで多いのが焼酎で、以降はワイン、地ビールの順番となっている。地ビールは1994年の酒税法の改正によって解禁になったものの、清酒と比べると企業数はずっと少ない。

清酒は5社に1社が200年企業

 次いで業種ごとに社歴を中央値を比べると、清酒が140年と最も長く、平均的な会社で明治が始まって間もない時期の創業だ。社歴が最も長いのは1132年創業で秋田のメーカー。これに次ぐのが1141年創業の茨城の清酒メーカーであり、この2社は平安時代から事業を続けている。分布をみた場合、創業100年を超える会社が4社に3社を占めており、200年を超える超長寿企業も5社に1社ある。業歴の長さから地域を代表する会社となっているところが少なくない。

清酒会社の社歴別の分布