子どもの人数分の投票権を親に!

コロナ禍の昨年は出生数が84万人と過去最低でしたが、このままではさらに急激に少子化が進みかねません。

渡辺氏:子育て家庭への支援議論として昨年、第1子の児童手当を3万円から5万円に、第2子は月1万円を3万円に増やし、さらに第3子以降は6万円に増額する案が出されました。フランス式の考え方で、とても有効だと思います。しかし、案だけで実行はされていません。

 ザクッと考えますと、昨年生まれた84万人のうち半分を女性と仮定すると42万人。この42万人全員が2人ずつ産んでようやく84万人を維持できるのです。少し古いデータになりますが、1990年に、生涯で出産しない女性の割合は38%でした。 42万人のうちで、子供を産む女性が6割とすると25.2万人しかいないのです。その方たちが「本当は子どもをたくさん欲しいけど、お金がかかるから1人しか無理だな」と思ったら、それこそ大変なことになるのです。

(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

子育てに希望が感じられる社会、抜本的に子どもへの政策を充実する方策はあるでしょうか。

渡辺氏:7人のお子さんを育てているお父様とお話をする機会があったのですが、その方が「一番の願いは、7人の子どもの投票権を自分に与えてもらうこと」とおっしゃっていたことが印象に残っています。

 自分は、子どもがたくさんいるとまともな暮らしができないこの国はおかしいと思っているけど、自分には1票しかない。この子たちの将来をつくるための投票権がないのはおかしいと。お父様はとても教養がある方なのですが、生活は苦しく、ご飯も卵かけご飯などしか食べさせられない状況です。広くない家での“ステイホーム”では、勉強なんかとても無理という環境で子育てをしておられます。

 少子高齢化社会の中では、シニア層の有権者の声が大きくなりがちです。でも困窮家庭への支援をはじめ、子育ての環境をよくする政策を進めるには、若い世代、子育て世代が行動し、自分たちの声を政治に反映する必要があります。

若い世代に対して「投票に行こう」と呼びかけて、大きな反響を集めていますね。

渡辺氏:前回選挙の投票率を年代別に見たところ、60代が72%と最高でした。一方で若者や現役世代の投票率は低いので、自分たちの声を政治に反映するには、まず投票に行こうと、75%の投票率を目指して呼びかけています。

 実際にネット上で若者や現役世代に重視する政策を聞いたところ、やはり「現役世代の働く環境の改善」「子育て環境の改善」など若い世代の問題が挙がっているのです。

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