フィジカルインターネットの実現には時間もかかると考えているので、日本での目標を2040年としています。しかし物流とデジタルは親和性が高いと見ています。道筋をつければ、展望が開け、一気に進んでいくと思います。

 さらに言えば、フィジカルインターネットは、物流、流通の効率化のみならず製造業の競争力を強化します。日本の経済成長のために、その実現が欠かせないのです。

フィジカルインターネットの実現、言い換えると物流効率化を阻むものがあるとすれば何でしょうか?

中野氏:企業トップの意識でしょうね。DXを推進していた当時、現場レベルは必要だと認識しているのに経営トップがデジタルにうとくて投資を決断しないという話をよく聞きました。物流効率化も同様で、経営者が関心を持ちにくい。しかしもう時間の猶予はないのです。

フィジカルインターネットの提唱者である、米・仏・豪3人の研究者の著書『フィジカルインターネット』の日本語版を刊行

 早く、正確に、もっと便利に!
 物流に対するニーズが高まり続ける中、物流会社は独自の運送網を築き、 メーカーも独自の物流体制を築いてきた。だがその結果、現場では壮大な無駄が生まれている。

 インターネットで情報が届くように、モノも送ることはできないか。常識破りの発想から生まれたアイデアが、フィジカルインターネットだ。フランス、カナダ、米国の研究者が提唱するこの方法は、荷物のサイズを揃え、トラック、倉庫など物流ネットワークをシェアして、物流を劇的に効率化するというもの。果たして実現可能なのか。彼らが取り組んだ大規模実験の結果は──。

 本書はフィジカルインターネット実現のための研究報告をまとめたフィジカルインターネットの解説書、その日本版となる。

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