これまで、オペレーションをスリム化することで、費用便益が得られると考え、あまりオペレーションを分散してこなかったとする。分散すると、調整にコストがかかるからだ。果たしてそれは正しいやり方なのか。もしスリム化し続けたままでいたら、業務フローを分散していないためロックダウンに適応できず、手詰まりになってしまう。

 もしアジャイルなリーダーだったらどう考えるか。スリム化が必要なときにはスリム化し、分散しなければいけないときに分散できたらいい。サプライチェーンも、必要に応じて分散することはできる。複数のサプライヤー、バイヤーと付き合い、必要なときだけ取引先を絞ってもいい。

 1つの構造から別の構造へと切り替えることで俊敏さを示せるとしたら、必要に応じてどちらの構造でもいける。組織は、この代替可能な構造を、将来への備えに必要な能力の一部として考慮に入れるべきだ。

 正直言って、将来のことなど誰にも分からない。だからこそ、自分たちを破壊しうるあらゆる可能性を想定する必要がある。極力破壊的な状況を避け、何かが起こったときの影響を最小限にする必要がある。

サプライチェーンの「アジリティー」が不確実性で勝つためのキーワードということですね。アジリティーには、違うビジネスモデルの間を行ったり来たりできる能力という意味もあると。マネジャーやシニア幹部の視野の広さが問われます。

ハシジャ氏:それこそリーダーをどう選ぶかという本質だ。組織では、結果を見て人を昇格させることがほとんどだ。そうして指揮系統を上がっていく。だから常に、作業をテキパキやることに優れた人を昇格させている。もちろんそれは重要だ。夢見る人よりも行動する人のほうが、物事を前に進めることができる。

「動かす人」と「夢見る人」のバランス

 しかし誤解しないでほしいが、どの組織にも動かす人と夢見る人、両方必要だ。要するにバランスをどう維持するかだ。バランスを完璧に取ることは無理だし、簡単ではない。どちらかに偏りがちだ。多くの人にとってはとりあえず実行することのほうが重要だ。

 リーダーは、現実と夢の両方を未来につなげ、将来のビジョンに基づいて行動するといったバランスを、注意深く取っていくことが求められる。私たちはこれを「不死鳥の態度」と呼んでいる。

 的確に情報を読み取るマインドセット、バランスを取れる能力、先読みする能力。しかも実行力も求められる。まるでスーパーヒーローのように聞こえるかもしれない。確かに我々は、リーダーはヒーローである必要があると常々言っている。しかし、そうしたスキルや姿勢の多くは、後から習得することが可能なものだと考える。

リーダーに大事な「不死鳥の態度」

 系統立てたトレーニングが必要だ。そしてリーダーは、組織内に(寿命が尽きてもまた再生しよみがえるような)「不死鳥」カルチャーを構築し、周囲を固める人もまた、ある意味「不死鳥」でなければいけない。いったんこれがうまくいき、カルチャーを創出できれば、リーダーに必要な「不死鳥の態度」を養っていくのはそれほど難しくない。

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