リーダーの「不死鳥の態度」とは何か(写真:PIXTA)
リーダーの「不死鳥の態度」とは何か(写真:PIXTA)

デジタル化で後れをとり、イノベーションとビジネスモデルの革新が迫られる日本の大企業。フランスのビジネススクール、INSEAD(インシアード)で今年エグゼクティブ教育を率いる研究科長に就任したハシジャ・サミール教授は、経営アドバイザーとして知られるラム・チャラン氏らと共著『The Phoenix Encounter Method』を出版し、変革するリーダーを育てるための、「荒療治」ともいえる独自の手法を解説した。「変わり続けるためには、危機のさなかにあっても大きな構想を描いてよみがえろうとする『不死鳥のリーダー』が重要だ」と強調する。

新型コロナウイルスで世界中が混乱に陥りましたが、ワクチン接種が急ピッチで進んでいます。これまでコロナ禍をうまく切り抜けてきた企業に共通する点はありますか。

サミール・ハシジャINSEAD(インシアード)教授(以下ハシジャ氏):パンデミック(世界的大流行)では、多くの企業にセレンディピティー(偶然による幸運)があった。いろいろなことが重なってむしろ運が向いてきた会社すらあった。

 市場で消費者に商品やサービスを供給できるポジションにあったり、そうしたビジネスを急きょ立ち上げたりした会社がそうだ。(オンライン取引向けの)デリバリーや、オンラインビジネスに投資してきた会社が典型だろう。コロナ禍が始まってロックダウンとなり、所得が減り、あらゆる特異な状況のおかげでそうしたビジネスモデルが活況を呈したのは記憶に新しい。

 だが教訓としては、このような「セレンディピティー」に依存し過ぎてはならないという点だ。今回の経験が、今後の事業戦略の一部にしっかりと盛り込まれることが重要だ。

 また、新型コロナは社会のレジリエンス(強靱[きょうじん]さ)を見せてくれた。いや、レジリエンスというよりは俊敏さ、アジリティーだ。アジリティーとはここでは、変化する環境に迅速に適応する力のことを言っている。

テクノロジー=アジリティー

昨今、(俊敏に対応する)アジャイル経営の重要性を強調する声が広く聞かれます。

ハシジャ氏:絶えず変化し続ける環境の中で、臨機応変にかじ取りをしながら航路を進んでいかなければいけない。すぐに新型コロナの影響から立ち直った多くの会社は、長年かけて、既にアジャイルなシステムを社内に構築してきていたのが勝因だろう。

<span class="fontBold">サミール・ハシジャ(Sameer Hasija)</span><br />仏INSEAD(インシアード)テクノロジーマネジメント教授<br />2007年、米ロチェスター大学でオペレーションマネジメントの博士号(Ph.D.)を取得。2008年にインシアード助教授、2020年から教授。2021年1月からエグゼクティブ教育部門の研究科長に就任。
サミール・ハシジャ(Sameer Hasija)
仏INSEAD(インシアード)テクノロジーマネジメント教授
2007年、米ロチェスター大学でオペレーションマネジメントの博士号(Ph.D.)を取得。2008年にインシアード助教授、2020年から教授。2021年1月からエグゼクティブ教育部門の研究科長に就任。

 時代環境の変化にどう臨機応変に対応していくのかが鍵だ。現在、テクノロジーによる一番の恩恵は、まさにアジリティー。単なるコスト削減などではない。素早く物事に適応する能力を我々に与えてくれることだ。

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