デジタル人材に共通する思考のフレームを教える

実際の研修の中身は?

小森氏:テクニックとしてプログラミングを教える方法もありますが、最初のステップはデジタルマインドの育成です。これは、デジタル人材に共通する思考のフレームを可視化、言語化して伝えることからスタートします。

デジタル人材の思考のフレーム、そんなものがあるのですか?

小森氏:あります。具体的に見ていきましょう。まず、デジタルワールドとリアルワールドがあると想像してください。

 どんな情報をリアルワールドからデジタルワールドに送るのか。デジタルワールドでどんな処理をするのか。最終的にどういう結果を生むのか。シンプルに言うとデジタル人材は、そういうステップで思考しています。

 例えば、スマートフォンでコーヒーショップに事前注文をする仕組みを考えてみましょう。まず自分のアカウントにアクセスし、自分が誰かを明確にします。次に、コーヒーの種類、サイズ、個数をスマホに入力し、送信します。送信された瞬間にその情報は、デジタル世界にインプットされます。

 この「誰・種類・サイズ・個数」という4つの情報、これはデータであり複製可能なので、店舗側とユーザー側の履歴画面にこの情報が入ってきます。インプット(INPUT)、スループット(THROUGHPUT)、アウトプット(OUTPUT)。あらゆるテクノロジーは、この流れで説明できます。

 「ポケモン GO」のようなアプリは、位置情報をインプットしてAI(人工知能)で処理、つまりスループットして、AR(拡張現実)という技術で画像をアウトプットとして見せるわけです。

 自動運転は、位置情報を基に周囲の物体との距離や、全体の距離を計測し、その情報をインプットして、AIで処理、つまりスループットして、車の制御をする、これがアウトプットです。

 「アレクサ」のようなスマートスピーカーも一緒です。「電気を消して」という音声情報をインプットすると、それを基にAIとプログラムが走って、じゃあ、電気を消す。インプット、スループット、アウトプットという構造です。

 仮にこの思考のフレームワークをちょっと応用すると、魔法のようなことができます。

デジタル人材に共通する思考のフレームについて説明する小森氏(写真/吉成大輔)
デジタル人材に共通する思考のフレームについて説明する小森氏(写真/吉成大輔)

魔法、ですか。

小森氏:オフィスにいるときに、この4つの情報をスマホに入力をして、目当てのコーヒーショップに行くと、「小森様、お待ちどおさまです」と注文したコーヒーが出てくる。4つの情報をデジタル世界にインプットさえできればコーヒーが注文できるわけです。

 例えば、コーヒーを注文した履歴を参照する、あとは位置情報、例えばコーヒーショップからオフィスに行くまでの情報、時間情報。そのうち、脈拍とかいろいろな情報を取得して、4つの情報をインプットできれば、何もしなくてもコーヒーが注文できるようになります。AIというのは本当にこのスループットの中の1つの処理です。

 この魔法のような、何もしてないのに、希望のコーヒーが出てくるという状態をどう人間が進めるかが、テクノロジーの世界にいる人たちが考える思考の1つのフレームというわけです。

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