IOCも経済界もLGBT差別禁止を求める

今年はオリンピック・パラリンピックの開催も予定されており、さらにSDGs(持続可能な開発目標)が社会に浸透してLGBTQへの関心も高まっています。法制化に期待も集まっていたのではないですか?

松中氏:2015年にオリンピック憲章の根本原則6(fundamental principle 6)が変わり、性別や性的指向によって差別をしてはならないと定められました。IOCとJOC(日本オリンピック委員会)と東京都は、東京開催に際して都市契約を結び、日本政府も含めて、そのオリンピック憲章を順守することになっています。また、それに基づき東京都は2018年、性的指向・性自認による差別を禁止する条例も定めているのです。一方で、差別を禁止しない日本政府はオリンピック憲章を守っていないと言えます。与党議員がLGBTに差別的発言をするのは、オリンピック憲章に反する行為なのです。

今後はどのように運動を続けますか?

松中氏:今国会の会期は16日までです。まだチャンスはあります。野党国会議員や公明党議員の方からも、2日あれば法案は通せるという声がありますし、自民党議員でも応援してくれる方も増えてきました。

 6月2日には、IOCがスポーツと社会におけるLGBTQへの差別解消の重要性を改めて強調しました。経済界でも、新経済連盟やパナソニックなどの企業がLGBTへの差別禁止の法制度を求める意志を表明しています。プライドハウス東京としてニューヨーク・タイムズやタイム誌など海外メディアからも取材を受けています。諦めずにギリギリまで法制化を目指して活動を続けます。

(写真=北山宏一)
(写真=北山宏一)
■訂正履歴
記事公開時、自民党から出された法律の基本理念に「差別はあってはならないことを前提に」とあったのは、「差別は許されないものであるという認識の下」です。 また、自殺を考えたことがあるかという問いの答えでLGBが異性愛者の6倍、とあったのは、自殺未遂の割合がセクシュアル・マイノリティでない人に比べて6倍、です。本文は修正済です。
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