
2023年3月の全国人民代表大会(全人代)において「党と国家機構改革方案」が採択され、国務院の機構改革の一環として「国家データ局」の新設が決定した。
名称に「管理」の文字が使われていないことからも分かるように、国家データ局が担うのが、データを利用した「発展」だ。14億人の人口を抱え社会全体のデジタル化が急速に進んでいる中国は、「21世紀の石油」と呼ばれるデータの世界最大の「産油国」であり、この重要資源を経済成長へとつなげる狙いがある。
データ利活用の旗振り役
これまでは「データ利活用」を担う機能が複数の部門に分散しており、データを経済発展につなげる旗振り役の不在が指摘されていた。この「データ利活用」の機能を国家データ局に集中させ、データを監督管理する部門と切り離し、データを生産要素として積極的に利活用することで経済成長へとつなげたい考えだ。
より具体的には、これまで中央ネット安全・情報化委員会弁公室が担っていた、デジタルチャイナ建設計画の検討・立案、公共サービス・社会ガバナンスの情報化、スマートシティー建設、国家重要情報資源の開発・利用・共有、情報資源の業種間相互接続といった機能を移管する。また、国家発展改革委員会の中でも、デジタル経済の発展、国家ビッグデータ戦略の実施、データ要素基礎制度の設計、デジタルインフラの整備などを担当する部門も統合する。主な職責としては、データ関連基礎制度の設計、データ資源の統合・共有と開発・利用、数字中国(デジタルチャイナ)・デジタル経済・デジタル社会の計画と構築を推進する(図表①)。
なお、国家データ局が「発展」を担う一方で、データの「安全」に関しては、中央ネット安全・情報化委員会弁公室が引き続き担当するとみられる。
デジタルチャイナの推進
国家データ局が担う重要任務の一つが、社会のあらゆる分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)を図る国家戦略「数字中国(デジタルチャイナ)」の推進である。
23年2月、中国共産党中央委員会および国務院は、このデジタルチャイナに関する具体的方針を示した「数字中国建設の全体配置計画」(以下「計画」と略す)を発表した。
Powered by リゾーム?