
中国の人口がついに減少へと転じた。中国国家統計局によると、2022年末の総人口は14億1175万人となり、21年末から85万人減少した。過去61年間人口が増加し続け、世界最大となった人口大国が歴史的転換点を迎えた。
人口減少の要因は出生者数の激減だ。人口減少は、死亡者数が出生者数を上回ることで起こる。22年の死亡者数は27万人増えて1041万人となった一方で、出生者数は106万人減の956万人と、建国後初めて1000万人を下回った。
注目は出生者数の減少スピードである。直近のピークの16年には1786万人の子供が生まれていたが、その後毎年平均10.6%の速度で減少し、わずか6年で半減している。
出生数激減の要因
中国政府もこの間、手をこまぬいていたわけではない。中国で30年以上続いた「一人っ子政策」は16年から廃止され、「二人っ子政策(二胎政策)」が全面的に実施された。さらに21年には、3人目の出産が認められた。それにもかかわらず人口減少に歯止めがかからなかった。
2人目、さらに3人目の出産承認は全く効かなかったのか。
そんなことはない。実は、出生数に占める第2子以上の割合は半数を超える。国家衛生健康委員会が公表した『2021年我国衛生健康事業発展統計公報』によると、21年に生まれた1062万人のうち、第2子の比率は41.4%、第3子以上の比率は14.5%を占める。実際に、私の周りでも比較的裕福な家庭では、多くが第2子を出産している。
問題は第1子の出産が減っていることだ。この統計データから計算すると、21年に生まれた第1子は468.3万人、第2子は439.7万人、第3子以上は154万人となる。もし16年に一人っ子政策を転換していなければ、中国の出生数はさらに減り、もっと早く人口減少に転じていただろう。
第1子出生数の減少の背景にあるのが、婚姻率の低下、つまり結婚しない若者の増加だ。中国民生部の統計によると、13年に1346.9万組あった婚姻件数は、21年には764.3万組にまで減少している(図表)。婚外子に関する統計はないが、出産に必要な「準生証(出産許可証)」の取得には結婚証明書が必要となるため、統計に反映されている出産数のほとんどが既婚者によるもので、婚外子は少ないと見ていいだろう。つまり、婚姻件数が減れば自然と第1子の数が減ることとなる。
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