どうなる2023年の中国経済
それでは政策変更で中国経済はどうなるのだろうか。コロナ対策の大幅緩和で回復が期待されるのが、GDP(国内総生産)の約4割を占める個人消費だ。実際に、20年に改革開放以来初のマイナス成長となるなど、コロナで最も影響を受けてきたのが消費だった。特に、外食や旅行、レジャーなどのサービス業の落ち込みが大きかった。
ただし、短期的には感染拡大によるマイナスの影響は避けられそうにない。人やモノの移動が制限されることはなくなったが、今度は感染拡大で街の様相が一変した。感染者は自宅で療養、感染を恐れる市民が家に引きこもったことで、オフィスや商業施設などから人の気配が一気に消えた。店員の感染で人手不足に陥った飲食店も一時休業を余儀なくされた。
現代社会のエッセンシャルワーカーとなっている配達員の多くも感染し、物流にも多大な影響が出た。通常は最短30分で届けてくれる生鮮EC(電子商取引)も、早朝6時の開店時に注文しないと買えなくなった。出前サービスも軒並み食事のピーク時間では1時間以上待ちとなった。
感染のピークアウトはいつか?
今後は、感染のピークアウトが、経済活動が本格的に回復するための条件となりそうだ。
現在の感染状況に鑑みると、感染ピークは大都市から中小都市へとタイムラグを伴いながら推移すると考えられる。既に帰省している学生に話を聞くと、現在急速に感染が拡大しているのは主に省都などの大都市で、本格的な感染が始まっていない中小規模の都市もあるようだ。医療資源に乏しい田舎町での感染拡大は今後の大きなリスクとなろう。
以上を総合的に考慮すると、経済はまず都市部の若者を中心に動き始め、主要都市から地方都市へと段階的に経済回復に向かっていくと予想される。実際に、私の住む北京では早くも経済活動が活発化し始めており、ショッピングモールはカップルや親子連れでにぎわい、レストランには行列ができている。4年ぶりに行動制限なしで迎える春節(旧正月)休暇は、今年の中国経済を占う試金石となりそうだ。
22年の日本では、日経MJヒット商品番付で、コロナ禍で中止となったイベントやレジャーの復活を示す「#3年ぶり」が西の横綱に選ばれた。コロナ政策の大転換を迎えた23年の中国では、「#4年ぶり」にサービス業を中心とした個人消費の盛り上がりが期待されている。
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