(写真=PIXTA)
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 中国政府が『第14次五カ年デジタル経済発展計画』で「実施を加速する」との方針を示していた「東数西算」プロジェクトが正式にスタートした。

 「東数西算」の、「東西」は地域を、「数」はデータを、「算」は計算能力、データの処理能力をあらわす。つまり、データセンター建設やクラウド・コンピューティングなどを通じて新たなネットワークシステムを構築し、人口が集中し経済規模も大きい東部地域で大量に発生するビッグデータを、コンピューティングコストが比較的低い西部地域で処理を行うというプロジェクトだ。

「東数西算」プロジェクトのイメージ図
「東数西算」プロジェクトのイメージ図
(出所)各種報道をもとに筆者作成 (注)画像はイメージ。実際の正確な位置とは異なる場合がある。
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 具体的には、京津冀(北京・天津・河北)、長江デルタ地域、粤港澳大湾区(Greater Bay Area)、成渝(成都・重慶)、内モンゴル、貴州、甘粛、寧夏の8エリアをコンピューティングハブとし、これらのエリアに10カ所のデータセンター集積地を建設する。

 プロジェクトの背景にあるのが、国を挙げたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の進展で見込まれるデータ量の爆発的な増加だ。

国家主導で進む「数字中国(デジタル・チャイナ)」建設

 2021年に発表された『第14次五カ年計画』ではこの「デジタル」について、「経済」「社会」「政府」の具体的な取り組みプランが示され、「数字中国(デジタル・チャイナ)」の建設に向けた本格的な第一歩を踏み出した。

 「経済」分野においては、研究開発の強化によって生まれた新技術を、積極的に社会へと実装、導入していく計画だ。デジタル経済分野の重点産業には、「クラウド・コンピューティング」「ビッグデータ」「モノのインターネット(IoT)」「インダストリアル・インターネット」「ブロックチェーン(分散型台帳)」「人工知能(AI)」「仮想現実(VR)と拡張現実(AR)」の7分野が指定されている。

 「社会」分野のキーワードは「インターネット+公共サービス」。中国政府は、民間サービスで培ったノウハウを活用することで、公共サービスや社会運営におけるイノベーションを促進し、より便利な社会の構築を目指している。

 民間と比較すると、「政府」分野におけるデジタル化は遅れている。目指すのは「スマート行政」。証明書、契約書、サイン・印鑑、領収書などを全てデジタル化し、煩雑な行政手続き・サービスを、インターネットを通じてワンストップで完了できる環境づくりを推進する。

※ 政府主導で進む「数字中国」建設の具体例やデジタル人民元の展望などは、拙著『数字中国(デジタル・チャイナ)―コロナ後の「新経済」』で詳しく紹介している。

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