北京市内。11月4日、コロナウイルスの検査を受ける前にQRコードを読み取って登録する様子(写真:AFP/アフロ)
北京市内。11月4日、コロナウイルスの検査を受ける前にQRコードを読み取って登録する様子(写真:AFP/アフロ)

 10月21日、会食を約束していた北京出身の友人から参加できなくなったとの連絡が入った。彼が住む北京市昌平区の「宏福苑社区」で新型コロナウイルスに感染した疑いのある人が見つかったためだ。その後、新規感染者が相次いで確認され、同エリアは23日に「高リスク」地区に引き上げられた。

 中国が目指しているのが、徹底的な封じ込めにより国内の新型コロナ患者を1人も出さない「ゼロコロナ」だ。多くの都市において、予定されていた様々なイベントが影響を受けている。10月末に開催予定だった北京マラソンや、私も審査員として参加を予定していた「日本語スピーチコンテスト」の北京予選大会などが軒並み延期となった。

 私が勤務する対外経済貿易大学でも、厳しい管理体制が敷かれ、学内の学生寮で暮らす学生は原則校外に出ることができなくなり、我々教職員も都市をまたいだ移動が難しくなった。

 新型コロナの感染状況を気にしながら生活を送る日々が再び始まった。

コロナマップで感染者情報公開

 市中感染の拡大を防ぐためには、迅速かつ正確な情報公開を通じ、国民の予防意識を高める必要がある。政府は、感染者情報や病院、交通機関などの公共部門のデータを日々公開しており、それを民間プラットフォーマーが独自のノウハウで組み合わせることにより、リアルタイムで国民に伝達している。

 私が利用しているのが「今日頭条」。TikTok(ティックトック)を運営する字節跳動(バイトダンス)が提供するニュースアプリだ。売りはAIを用いたビッグデータ解析で、日々更新される大量の記事を独自技術で分析し、読者ごとにカスタマイズしたニュース配信を行っている。

 この「今日頭条」のアプリを開き、「抗疫(防疫)」タブをタップすると、国内外の新型コロナ関連情報がずらりと並ぶ。

 国内の感染者情報は、国家および省レベルの衛生健康委員会が日々発表しているデータが利用されている。新規・累計・無症状感染者数、濃厚接触者数、死亡人数、完治人数など中国全土の現状が把握でき、諸外国の関連情報も公開されている。また、都市ごとの詳細情報も確認でき、私の住む北京市では、市内15地区の住人に加え、海外や市外からの入京感染者数などが分かる。

 圧巻なのは市中感染者の詳細情報だ。感染者の行動履歴、立ち寄った詳細情報を記したコロナマップなどが公開されている。

コロナマップで感染者の行動履歴を確認することができる
コロナマップで感染者の行動履歴を確認することができる
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 コロナマップを開くと、周囲5km以内に感染者が立ち寄った場所がいくつあるかといった情報を自動で教えてくれる。地図上には、感染者が住んでいるマンションや立ち寄った場所が示されており、アイコンをタップすると場所の名称や当該感染者の行動履歴が確認できるシステムとなっている。

 例えば、「患者58」のようにナンバリングされた匿名の感染者が、「10月12~15日、自家用車で内モンゴル、寧夏、山西などへ旅行」といったように、いつどこに行ったのか、何をしたのか、どの公共交通機関を使ったのか、といった詳細情報を見ることができる。