(写真:ロイター/アフロ)
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 中国の不動産大手「中国恒大集団」の経営危機がにわかに注目を浴びている。2021年9月20日、同社のデフォルト(債務不履行)懸念を受け株価が急落。ショックは欧州、米国、そして連休明けの日本にも波及し、世界同時株安の様相を呈した。

 恒大集団が公表した報告書によると、6月30日現在の負債総額は1兆9665億元(約33.8兆円)と巨額だ。中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する負債を抱える企業が無策のまま破綻すれば、その影響は計り知れない。

 10月12日には、ここ3週間で3度目となる社債の利払い遅延の報道もあった。

 そのため一部では、「第2のリーマン・ショック」、「中国経済崩壊」を懸念する声も聞かれる。恒大ショックで中国経済は危機に陥るのだろうか。

流出した恒大集団の負債リスト

 まずは概要を見ておこう。中国恒大集団は、1996年に広東省広州市で、董事局主席(会長)の許家印氏が創業した不動産開発企業だ。

 中国の不動産市場はまだ若い。中国には「分房」という言葉があるが、「房子(住宅)を分配する」という意味で、以前は勤務先などから住宅を分けてもらうというのが慣例だった。不動産取引が始まったのが、90年代後半。土地は国有であるため、デベロッパーは国から「使用権」を購入し、その土地にマンションやオフィスビルを建設し、土地の使用権と建物の所有権をセットにして販売している。

 2000年代の中国経済の拡大とともに、黎明(れいめい)期にあった不動産市場は急拡大。そのブームに乗って恒大も急成長を遂げた。

 2009年には香港証券取引所に上場し、経営の多角化を始める。翌2010年に、プロサッカーチーム「広州恒大(現・広州FC)」を買収。アジア・チャンピオンズリーグを2度制覇する屈指の強豪チームにまで育て上げ、恒大の知名度は高まっていった。近年では、新エネルギー車や映画、ヘルスケアなどの事業にも進出している。

 不動産開発には多額の資金が必要な上に、経営の多角化を進めるために、さらなる借り入れや外債を中心とした債券発行を行った結果、同社の負債はみるみる増加していった。

 2020年8月、恒大集団が広東省政府に提出した内部報告書が流出し話題となった。そこに記されていたのが、国内外の金融機関が関わる同社の有利子負債の実態だった。具体的には、2020年6月30日における有利子負債総額は8355億元(14.2兆円)で、その内、国内ノンバンク向けが3676億元(44.0%)、国内銀行向けが2159億元(25.8%)、海外債券1852億元(22.2%)、国内債券496億元(5.9%)であった。また、民生銀行293億元、中国農業銀行242億元、浙商銀行113億元、光大銀行105億元、中国工商銀行103億元など、具体的な金融機関に関する情報も記載されていた。

 時を同じくして、中国政府が規制強化へとかじを切る。

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