(写真:AFP/アフロ)
(写真:AFP/アフロ)

「疫苗接種完成(ワクチン接種完了)」

 2回目の新型コロナワクチンを打った直後、北京市の新型コロナウイルス専用アプリ「北京健康宝(Health Kit)」の表示が変わった。商業施設入場時など健康状態の確認に用いられているこのアプリには、PCR検査結果やワクチン接種状況の証明機能も搭載されている。

 スマホ上で結果の確認ができるだけでなく、ワクチン接種証明書も発行可能だ。アプリ内に「証明書のエクスポート」機能があり、タップすると専用URLがコピーされる。ブラウザにペーストすれば、PDF形式の電子接種証明書が表示される仕組みとなっている。それをメールに添付して送信してもいいし、SNSで送ることもできる。私は大学の担当者にウィーチャットを使って送付したが、全工程の作業時間は1分もかからなかった。

 証明書には、接種者の氏名、性別、生年月日、身分証(パスポート)番号、住所、電話番号などの個人情報に加え、接種したワクチンの種類やコード番号、接種日、担当クリニックなどが記載されている。証明書発行者の電子署名(押印)まで図示されるという手の込みようだ。

 なお、私が接種したのは中国医薬集団(シノファーム)傘下の北京生物製品研究所製だった。中国でワクチンの承認をおこなう機関は国家薬品監督管理局で、21年6月現在では4種類がすでに承認済みとなっている。

中国のワクチン接種状況

北京のワクチン接種会場
北京のワクチン接種会場

 中国では、国内正式承認前の2020年7月から医療従事者らを対象とした新型コロナワクチンの緊急投与を正式に開始した。同年12月にシノファーム製ワクチンが最初の承認を受け、一般市民向け接種が本格的に始まった。

 中国人向けの接種は通常、職場か「社区」が組織する。例えば、私が勤務する対外経済貿易大学でも、教職員と学生を対象とした集団接種を実施した。接種会場は、卒業式などのイベントで使われる体育館。4000人以上の収容が可能な広大な敷地に無数のブースが設置され、1万人以上の教職員や学生が接種を終えた。「社区」で接種する場合も事前予約は不要で、身分証明書を持って会場に行けば対応してくれる。

 中国の「社区」については、『3日で1000万人PCR』先端技術と人海戦術の中国コロナ対策」を参照。

次ページ 「様子見」から「政府主導」を経て「自主接種」フェーズに突入