長らく続いた一人っ子政策の結果、男女比率にも差が生じ、結婚できない層も生まれている。写真は2018年の七夕節に行われた集団結婚式。(写真=アフロ)
長らく続いた一人っ子政策の結果、男女比率にも差が生じ、結婚できない層も生まれている。写真は2018年の七夕節に行われた集団結婚式。(写真=アフロ)

 中国の人口抑制政策「計画生育」に変化の兆しが出始めている。

 一組の夫婦につき子供は一人までとする「一人っ子政策」は2016年1月1日に廃止された。しかし、その後の「二人っ子政策(二胎政策)」は出産人数を2人までに制限とするものであり、「計画生育」は依然として続いている。

 中国の中でも少子化が著しく深刻な東北地方(黒龍江、吉林、遼寧)はこの「計画生育」の撤廃を求めてきたが、国家衛生健康委員会は2月18日にこれに対する「返答」を発表した。内容を読むと、「地方の実情に基づき模索してもかまわない」「専門家による検討が必要」といった具体性に欠けるものだったが、ネット上では「東北地方で産児制限が試験的に撤廃される」と話題となった。

 その直後の20日に、「本意とは違う」と早期の実施を否定したが、「検討は必要」との認識は崩していない。

 「計画生育」撤廃に向けた動きは着々と進んでいる。政策担当部門の名称も以前は「国家衛生和計画生育委員会」であったが、2018年に「計画生育」が無くなり、現在の「国家衛生健康委員会」へと改名された。

減少が止まらない出生数

 中国の人口政策転換の背景にあるのが出生数の低下だ。国家統計局によると、「一人っ子政策」を撤廃した2016年こそ出生数が1786万人と前年比で131万人増えたが、その後は右肩下がりで減少し、2019年は1465万人にまで落ち込んだ。

 統計手法は異なるが、公安部が最近公表した『2020年全国姓名報告』によると、2020年生まれで戸籍登録した新生児は前年比14.9%減と急激に減少している。

 その最大の理由として出産コストの高さがある。中国では都市部を中心に生活・教育費用が高騰を続けている。

 住宅費高騰の影響も深刻だ。中国の都市部には「学区房」と呼ばれる名門小中学校の学区内に位置する住宅がある。一般のマンションより高額だが、子供に質の高い教育を受けさせ、将来少しでもレベルの高い重点大学に合格をさせようと、大金を惜しまずこの「学区房」を購入する家庭も少なくない。また一般的に、結婚前に男性側のほうで住宅を準備する慣習があるが、これも親が頭金を出してやるケースが多い。

 国としてもこのような問題は認識しており、3月13日に明らかとなった『第14次五カ年計画および2035年長期目標綱要』でも「出産、養育、教育の家庭負担を軽減する」としているが、短期間での劇的な改善は望めないだろう。

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