先端技術が発展を遂げる中国。政府は「新型インフラ」への投資拡大で後押しをする。(写真:新華社/アフロ)
先端技術が発展を遂げる中国。政府は「新型インフラ」への投資拡大で後押しをする。(写真:新華社/アフロ)

 中国経済が急回復している。中国国家統計局が7月16日に発表した第2四半期(4~6月)の実質GDPは前年同期比3.2%増で、初のマイナス成長(6.8%減)を記録した第1四半期からプラスに転じた。主要国が軒並みマイナス成長に陥る中、中国経済の力強さが際立つ。

 回復をリードしたのが製造業だ。1月末から強力な新型コロナウイルス感染症対策を全国規模で実施した中国では、3月中旬ごろには生産活動再開の動きが見られるようになった。それに伴い、工業生産は第1四半期の前年同期比8.4%減から第2四半期には4.4%増まで急回復している。

 また、中国メディアの財新と英国の調査会社IHSマークイットが発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月比1.6ポイント増の52.8と、約9年半ぶりの高水準に達した。国家統計局が公表している製造業PMIも51.1となり、市場予想を上回った。

 一方、消費の回復は依然として鈍い。2020年上期(1~6月)の社会消費品小売総額は前年同期比11.4%減(1Q:19.0%減、2Q:3.9%減)となっている。経済成長モデルが消費主導型へと転換してきた中国において、個人消費の低迷が経済成長に与えるインパクトは大きい。

 危機で成長エンジンに不具合が生じたとき、中国政府が点火するエンジンが「投資」だ。例えば、2008年のリーマン・ショック直後に実施された4兆元に及ぶ大型景気刺激策により、資本形成(投資)の経済成長への寄与度は2008年の53.2%から2009年には過去最高となる86.5%まで高まり、中国経済のV字回復をけん引した(データは国家統計局)。

 この4兆元の大半はインフラ投資に使われたが、今回のコロナ危機においても同様の動きが見られる。2008年と違うのは、その資金の多くが地方政府債券の発行によって調達される点だ。

 5月の全国人民代表大会(全人代)で李克強首相が読み上げた「政府活動報告」においても、地方専項債(特別債)を3.75兆元(約57兆円)発行し有効投資を拡大する計画が示されている。

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