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中国で猛威を振るう新型コロナウイルス。対策の効果もあり、中国では、新たな患者の発生は抑えられつつあるが、まだ終わりは見えない。(写真:ロイター/アフロ)

 中国における新型コロナウイルスの新たな感染者数は減少傾向にあるものの、経済活動が正常な状態に戻るには依然としてほど遠い状況にある。

 特に懸念されるのが非製造業の落ち込みだ。中国国家統計局が発表した2月の購買担当者景気指数(PMI)は、非製造業で前月より24.5ポイント落ち込み29.6と過去最低を記録。製造業の35.7を大きく下回った。

 安価で豊富な労働力を強みに労働集約型産業が中心となって飛躍的発展を遂げてきた中国は「世界の工場」のイメージが強いが、経済成長のエンジンはすでに製造業からサービス業へと転換している。

 2014年11月に北京で開催されたアジア・太平洋経済協力(APEC)会議CEOサミットの開幕式に出席した習近平国家主席は、「経済構造は最適化・高度化し続け、第三次産業、消費需要が徐々に主体となる」と述べ、従来の製造業・投資主導型からサービス業・消費主導型へと、経済成長モデルの転換を積極的に進めているのだ。

 実際に、名目GDPの産業別構成比を見ると、改革開放直後の1980年では、第三次産業の比率は22.3%と、第二次産業(48.1%)どころか第一次産業(29.6%)よりも低い状況であった。その後、第三次産業の比率は、1985年には第一次産業を、2012年にはそれまで中国経済を支えてきた第二次産業を超え、2019年には53.9%にまで達している。

産業別の名目GDP 構成比
(出所)国家統計局のデータを基に筆者作成

 不要不急の外出が制限され、人が多く集まる分野の業種に甚大な影響が出始めている。国内外すべての団体旅行が禁止となり、上海ディズニーランドや北京の故宮博物院などの施設も休業。スポーツやコンサートなど、不特定多数の観客が集う様々なイベントも軒並み中止となった。

 特に懸念されるのが、相対的に経営体力に乏しい小規模企業が多い外食産業だ。北京では、グループでの会食を禁止する通知が出されており、私の北京の友人も「ほぼ毎日自炊をしており、1カ月以上レストランに行っていない」という。春節が明けてから1カ月以上経つが、いまだに開業していない飲食店も少なくない。

 自動車や家電製品といった耐久消費財は、消費時期を新型コロナウイルス収束後にスライドすることが可能だが、サービス消費は性質上そうはいかない。例えば、感染拡大期間中に行けなかった旅行や開催できなかった会食を、収束後に倍に増やすことはないだろう。この期間のサービス需要は部分的に蒸発してしまうのだ。

 新型コロナウイルスがマクロ経済に与えるインパクトを判断するには詳細な統計データの公表を待たねばならないが、すでに中国経済の成長エンジンとなっているサービス産業の落ち込みが大きな負の影響を与えるのは間違いない。