
2019年における中国の「今年の漢字」は「穏(安定)」だったが、市民生活に直結する物価は極めて不安定であった。急激な物価上昇が一般市民の家計を直撃した。
国家統計局が20年1月9日に発表した統計によると、19年通年の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇した。単月で見ると、1月は前年同月比1.7%プラスにすぎなかったが、12月には4.5%プラスに達している。
その主要因が食品価格の高騰だ。食品及びエネルギーを除く物価指数を見てみると、12月は前年同月比1.4%プラスにとどまっており、1月の1.9%プラスより0.5ポイントほど低い。一方、12月の食品物価は17.4%プラスで、中でも豚肉が97%と異常に上昇している。
あまりにも異常な豚肉価格の高騰を受け、消費者物価指数を意味するCPIは、「中国豚肉指数(China Pork Index)」と揶揄(やゆ)される。
高騰の理由としては、アフリカ豚コレラ(ASF)の感染拡大による供給減少の影響が大きい。中国農業農村部によると、初めて発生が報告された18年8月3日から19年11月21日までに、160件のASF感染事例があり、累計119.3万頭を殺処分している。
実際に北京の豚肉価格を見てみると、19年6月以降の約半年間で2倍近く上昇している。例えば、私が住む団地内にあるローカルスーパーでは、19年6月時点では500g当たり17.8元(約267円)だった豚バラ肉は、12月には33.8元(約507円)に、豚ひき肉赤身も同16.8元(約252円)から30.8元(約462円)になっていた。
Powered by リゾーム?