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天津の並行輸入車マーケットに並ぶ高級車

 中国の新車販売が振るわない状況が続いている。中国汽車工業協会によると、2018年の新車販売台数は、前年比2.8%減の2808万台となり、28年ぶりに前年比で減少に転 じた。特に市場全体の8割強を占める乗用車の落ち込みが顕著で、4.1%の減少となった。

 中国自動車市場に何が起こっているのであろうか。

 マクロで見ると、「17年にあった減税打ち切り前の駆け込み需要の反動減に加え、米中貿易戦争などによる景気の先行き不透明感(「日本経済新聞」2019年1月14日付) 」が販売不振の要因という見方が一般的だが、それだけではない。ミクロレベルではまた異なる状況が見えてくる。

 2019年上半期、中国全体の新車販売台数が前年同期比12.4%減とマイナス幅が拡大する中で、ホンダが同22.4%増、トヨタが同12.2%増となるなど、日本車に対しては底 堅い需要が続いている。これは先のマクロ的要因だけでは説明がつかない。

 日本車人気の背景にあるのが中古車市場の拡大だ。日本車は故障が少なく、中古車市場では高値で売買されており、「日系車は残価率(値下がりしない度合い)が高い」 といった情報がネット上でも数多く見られる。

 そして、この中古車市場の拡大が、新車販売減少の大きな要因でもある。中古車を買う人が増えれば、当然、その分新車に対する需要は減少するからだ。

 新車販売が28年ぶりにマイナスに転じた18年、中古車販売台数は前年同期比11.5%増となる1382万台に達した。日本では新車販売の不振ばかりが注目されがちだが、中古 車も合わせた自動車市場全体で見ると1.5%増の4190万台となっている。新車のマイナス分を中古車が相殺している形だ。

 中国の中古車市場が拡大を始めたのが15年で、通年の販売台数は14年比で55.6%増と急増した。その後も新車市場を上回る成長を遂げており、10年から14年までの5年間 平均で23.8%だった新車・中古車販売比率(中古車÷新車)は、2018年には49.2%に達している。つまり、中国で新しく自動車を購入する人のうち、約3人に1人が中古車を選 んでいる計算となる。

中国における新車・中古車販売台数の推移
(出所)新車データは中国汽車工業協会、中古車データは中国汽車流通協会。