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「海底撈」スマート火鍋店のフロア。映像が壁一面に設置された巨大液晶パネルに映し出される。

 四方の壁一面に設置された巨大液晶パネルに映し出される近未来的な映像、タブレット経由で客のオーダーが入ると食材棚から皿を取り出してトレーに並べるロボットアーム、ベルトコンベアに載って運ばれたトレーを客のテーブルまで運ぶ配膳ロボット……北京にあるスマート火鍋店の光景だ。

 このレストランを手掛けたのが、国内外で500店舗近くを展開する中国火鍋チェーン店最大手の「海底撈(ハイディラオ)」と、日本を代表するモノづくり企業パナソニックのカンパニー会社、コネクティッドソリューションズ社(以下「パナソニックCNS社」)である。

 私がこの店舗を初めて訪れたのがオープン直後の2018年11月。当初は22時までの営業で、夕食のピーク時間前に到着したにもかかわらず、すでに100人以上が列をなしており、入店を断られてしまった。1カ月後、営業時間が延長されたというので再び訪れてみた。従業員曰く「比較的お客が少ない日」であったにもかかわらず、実際にテーブルに空きが見られ始めたのが22時を過ぎてからだった。

 「海底撈」は、チャットアプリ「ウィーチャット」上の公式アカウント「微信公衆号」から予約が可能となっている。今年2月の金曜日、再訪しようと予約を試みたが、1~4人用のテーブルは夕方5時時点で325組待ちの状態だったため諦めた。オープンから半年近く経った今でも人気に衰えは見られない。

 実際店舗に足を運ぶとわかるが、この「海底撈」の顧客の多くがデジタルネイティブの若者世代。ロボットアームや配膳ロボットなどの動画や写真を撮影し、SNS上に投稿し楽しんでいる。SNSでつながる友だちの口コミで瞬く間に広がり、多くの客が店舗に押し寄せているのだ。

 日本側の注目度も高い。パナソニック株式会社代表取締役社長の津賀一宏氏は、2018年10月に開催した創業100周年を記念するフォーラムでの基調講演において、この海底撈との共同プロジェクトの説明に多くの時間を割き、成果を強調した。日本の政府関係者や企業関係者による店舗視察も多いようだ。実際に、吉川貴盛農林水産大臣も現場に足を運んでいる。

 (「海底撈」スマート火鍋店設立の目的や背景に関しては、関連記事「日本式「おもてなし」でアリババに挑む中国企業」を参照。)