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 中国では所得向上に伴う中間層が拡大しており、日本を訪れ本場の「おもてなし」を経験する中国人が広がりをみせている。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2013年には131万人だった訪日中国人客数は、2017年には736万人に達している(図表1)。2018年11月時点ですでに778万人とすでに昨年実績を大きく超えた。それに伴い中国人の日本に対するイメージも大きく改善している。

(図表1)訪日中国人数と対日印象の推移
(出所)対日印象は言論NPO・中国国際出版集団、訪日中国人数は日本政府観光局(JNTO)の資料を基に筆者作成

 私の友人たちの多くが毎年日本を訪れ、帰国後には「日本は本当に素晴らしい国だ」と口をそろえる。特筆すべきはリピーターが多い点だ。マルチビザを取得して数か月に一度さまざまな地方を訪れている。よほど気に入らないと一つの国に何度も行かないだろう。日本に実際に足を運び、日本人と交流し、日本文化に触れあい、日本を気に入る中国人が増えている証左といえる。

 事実、言論NPO、中国国際出版集団の共同の世論調査によると、日本に対し「良い印象をもっている/どちらかと言えば良い印象をもっている」と答えた中国人は、2013年に史上最悪の5.2%となったが、2018年には初めて40%を超え史上最高の42.2%を記録した(図表1)。

 本場のおもてなしを知った中国人が、自国内でも気持ちの良いサービスを求めるというのは想像に難くない。

 果蔬好の江明氏は「中国のこれからの20年は、ニューリテールの概念ではなく、技術の高度化の20年だ」、「私に言わせれば、小売りに新旧など存在しない」と、アリババ創業者の馬雲氏が提唱する「新零售(ニューリテール)」を否定。リアルのおもてなしにこだわった戦略で巨人に挑んでいる。

中国の「おもてなし」を支える日本のモノづくり技術

 中国国内の元祖おもてなし店といえば、中国国内に300を超える店舗を構え、アメリカや日本を含むグローバル市場でも展開する、火鍋チェーン店の「海底撈(ハイディラオ)」だ。「サービス至上、顧客至上」を理念に掲げ、スタッフによる至れり尽くせりのサービスで顧客満足度を高めている。

海底撈スマート火鍋店の配膳システム。ロボットアームが食材をのせた皿をトレイに並べる。