Y:はい(笑)。何にしても、先に考えておかないとどうしようもないことから始めよう、と。
「そのとき」が来る前に、知っておくとすごく楽
松浦:それで思い出した。安藤さんのご本は、すごくよくできたマニュアルで、少なくともこれに乗っかっていれば、合理的な意思決定ができるなという気がするんです。だからこそ、いざその場に直面する前に読んでほしいなと思います。いざ介護しなくっちゃ、となってからこれを読んでも、おそらく混乱・緊張しているので、なかなか頭に入らないかもしれない。
安藤:そうですよね。介護というものに対してはみんなそうだと思うんですよね。そのときにならないと動かない。
Y:おっしゃる通りです。だから結果的に“不意打ち”になって、対応に苦労したり過剰なストレスを受けたりする。
松浦:みんな基本的に見たくない、知りたくない。でも、この本はお笑いで人気の安藤さんが前面に立たれることで、おそらく介護未経験で、まだ何も考えていない方が読む確率が高い。
安藤:そうなんですよね。読者層は30代、40代の方が多いです。
Y:じゃあ、本当に介護が始まる前ですね。
安藤:そうそう。だから、うちはお金がないんだけど、親の介護費用が、全部、子どもの私にかかってくるの?! みたいな不安を先にざっくりというところで、読者の方々に評価していただいているのかなと。当事者じゃなくて、その手前の人が、子どもの教育費を考えるみたいに、先にちょっと知っておく、準備運動みたいな。
Y:素晴らしい。
松浦:それはものすごくいいですね。
Y:始まった後に、具体的にどうなるのかは松浦さんの本を読んでいただいて(笑)。
安藤:日経ビジネス電子版の読者の方は、そろそろ始まりそうだけれど、目を背けている、という人が多そうですよね。お父様方には、予習といいますか、疑似体験、シミュレーションですね。
親御さんが年を取ってきたらこういうことが起こる、施設に入れるとこんなことが起きる、かもしれないということを、松浦さんの本で予習ができたら、いざというときに楽になりますよ、という感じです。とても読みやすいですし。私のほうはしおりみたいな感覚で読んでいただければハードルが下がるかなと思います(笑)。
松浦:どうもありがとうございました。予習は大切だと、自分自身の経験を振り返っても本当に思います。

親を「グループホーム」に入れたらどんな介護生活になるのか。
そもそも「グループホーム」とは、どこにある、どんなところなのか?
親が高齢になれば、いずれ否応なく知らねばならない介護施設、その代表的なものの一つである「グループホーム」。『母さん、ごめん2 50代独身男の介護奮闘記 グループホーム編』で、科学ジャーナリスト、松浦晋也さんが母親をグループホームに入れた実体験を、冷静かつ暖かい筆致で描き出します。

介護は、事前の「マインドセット」があるとないとではいざ始まったときの対応の巧拙、心理的な負担が大きく変わってきます。本連載をまとめた書籍で、シミュレーションしておくことで、あなたの介護生活が「ええっ、どういうこと?」の連続から「ああ、これか、来たか」になります。
書籍・電子版で発売中です。
本書の前段に当たる、自宅介護の2年半を描いた『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』は、電子版、集英社文庫が発売中です。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「母さん、ごめん 2」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?