親の介護は突然やって「こない」。
 親の介護は自分で積極的にたずさわ「らない」方がうまくいく。

 「2021年の初回から、何を言っているんだ!」と、ツッコミを入れたくなるせりふで失礼しました。奇をてらって目を引く、いわゆる「釣り」だと思った方もいるでしょう。

 しかしこれ、どちらも真実です。

介護は決して突然起きるわけじゃないんです

 まず「親の介護は突然やって『こない』」から。

 不慮の事故、若年性認知症などにより家族の介護が必要になる場合は、「突然」なのは理解できます(ただ、若年性認知症も前兆はあるはずです)。
 ですが、70歳を過ぎた親がいる場合は、「親の介護は突然やってこない!」のです。

 少し厳しい言い方になりますが、「親に介護が必要になりそうな状態」をあなたが把握していなかった、あるいは「まだ、大丈夫だよね!?」と、見て見ぬふりをしていたから「突然」のように感じられるだけ、ではないでしょうか。

 不思議なことに、つい忘れてしまいますが、親だって人間です。子供時代のあなたを支えてくれていた精神や肉体を持ち続けることはできません。年齢とともに、精神も肉体も“老いて”いく(もちろん、私たちも)。

 アタマでは分かっていても、「親はいつまでも親」と思い込みたい私たちは、親の老化を見ようとしないため、結果として「介護が突然やってきた!」となってしまうのです。

 昨年やってきたコロナ禍は、実は多くの方にとって、強制的に「親の老化」に目を向けるきっかけになりました。

 持病のある方や高齢者が重症化しやすい、という情報に触れ、しかもこれまでのように帰省ができないことから、離れて暮らす親が心配になり、電話やネットなどを使用して密なコミュニケーションを取り始め、そこで、これまでなかったような応答や振る舞いから親の「老い」に気づく。

 結果、「親の介護が突然やってきた!」と、私のもとへ相談に来る方が急増しているのです。

 さて、突発的に(と、本人には感じられる)介護が始まりそう、となったときに、優秀なビジネスパーソンが取る行動というのは不思議なくらい似通っています。

 つい先日も、こんな相談を受けました。

 「コロナ禍で、一人暮らしの母親が心配。実家に監視カメラを設置して、服薬の管理や、おかしな行動がないかをチェックしたい」

次ページ 監視カメラを付けたら親はどう感じるか