第一にやらなければいけないのは、ケアマネと信頼関係を築くためにコミュニケーションを重ねることです。

 このテーマは前にも解説しました(「新型コロナで自粛中に、デイサービスの利用は不謹慎?」・2ページ「悩む前に、チームビルディング!」以下)ので、今回は、ご家族側にとって耳の痛い話をさせてください。

家族に「No」と言えて、理由を説明できるケアマネは優秀

 あなたにとっては、気が利かない、言うことを聞かない、“良くないケアマネでも、要介護者であるあなたのお母さんやお父さんにとっては“素晴らしいケアマネ”。
 そんな可能性があることを、どうか忘れないでください。

 自分の言いなりになってくれるのが“いいケアマネ”だと思っているのならば、それは大きな間違い。時に家族に厳しいことを言うのもケアマネの大事な仕事です。

 例えば。
 ある方のお母さんは、日本舞踊のお師匠さんをしていたことから、寝るときに浴衣を着ていました。そのため息子さんは、母親が認知症になっても家の中では浴衣を着せていました。

 ただ、訪問したヘルパーからは「ご本人は浴衣を嫌がっているようです」という報告があったのです。

 ケアマネはそれを息子さんに伝え、パジャマを用意するように何度もお願いしたのですが、「ウチの母にはこちらのほうがいいに決まっている!」と聞き入れてもらえず、浴衣を着せ続けたのでした。

 この息子さんは、お母さんが認知症になったことに向き合えていなかったのかもしれません。お弟子さんに囲まれ、キレイに着物を着た母親のイメージが捨てられず、その姿のままであることを望み続けたのでしょう。

 その後、お母さんは怒りながら浴衣を人前で脱ぐようになってしまいました。それでも、浴衣を着せ続けようとする息子さんにケアマネは根気よく「今は洋服やパジャマを着たほうがお母さんには快適ではないでしょうか」と説得を続けました。

 ようやく現実を受け入れた息子さんは、母親が洋服やパジャマを着ることを受け入れ、「母が落ち着くようになりました」と、最終的にはケアマネに感謝を述べたそうです。

 正直、ケアマネだって、「家族の言うことさえ聞いていれば楽」なのです。この場合なら、「息子さんがそう言うなら」と、浴衣を着せ続けるよう指示することもできたでしょう。

 それでも、ケアマネがそう提案するからには、それなりの理由がある(ことが多い)。家族が拒んでも、何度も伝えてくるケアマネは“いいケアマネジャー”だと私は考えます。

地雷原のような家での介護

 次は、私が自宅を訪問する介護の仕事をしていたときの話です。

 寝たきりになった奥さんに訪問入浴の介護サービスに伺いました。すると旦那さんは、電話帳のごとく分厚い「お願い事」をまとめた紙の束を私たちのチームに渡してきました。

 お願い事、とはありますが、実際には「××はするな」「○○はいけない」という、禁止事項の束でした。

 その中に、「介護中は笑ってはいけない」という注意事項がありました。「介護は真面目にやるもの」というのが、旦那さんの考えのようです。

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