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 おさらいです。
 この連載では「介護」を、あえて「仕事」と考えようと提案しています。

 親を大切に思い、子どもとして愛情を持って介護を行いたい、という「肉親の情」は、介護にとっては実は間違い……と、申し上げたいわけではありません。ややこしいのですが、もし本当に愛情を持って親の介護を行いたいならば、それを支える精神面、経済面を無視しては、続けることが難しくなる、と危惧しているのです。そこに気付かずにいると、介護離職や、最悪の場合は介護自殺などにつながりかねません。いたましいことです。

※当法人、となりのかいごでも「#ストップ介護自殺」という取り組みを始めました。

 何度でも繰り返しています(最近では「あなたも“親孝行の呪い”にかかっていないか」)が、

  • 親の介護の実作業やケアプランの制作は、プロの介護者が入って行わないと、親も子も疲弊する。
  • なのでビジネスパーソンの皆さんは、子どもでなければできないケアを担当し、それ以外はプロに任せるべきだ。

 というのが、私の考えです。異論はもちろんあると思います。これまで延べ1000人以上のご相談に乗り、実際に介護の現場に10年以上立ち続けた自分の経験では、現状の結論はこうだ、ということです。

 合理的に、精神的・肉体的に過大なストレスがかからない状況をつくり上げてこそ、先が見えにくい、しかも基本的に「撤退戦」である「介護」という戦いをやり抜けるのです。

 そして、ビジネスパーソンの皆さんにとって「介護」をビジネスシーンに置き換えると、こんな感じになります。

  • “介護プロジェクト”のミッションは「要介護者(親)の幸せ」
  • あなたはそのプロジェクトマネジャー、あるいは経営者
  • 家族の介護に関わるプロたちは「プロジェクトチーム」のメンバー
  • 「プロジェクトチーム」の監督的な役割、実務を担当する執行役員がケアマネジャー

 「つまり、うまくいくかどうかは実際の執行をつかさどるケアマネジャー(ケアマネ)にかかる部分が大きいのだな」

 と、ビジネスパーソンであれば、すぐにご理解いただけると思います。
 そうなると、やはり「優秀なケアマネに担当してほしい」と思うのは人情です。
 あるいは……個別相談やセミナーでよく受ける質問があります。

いいケアマネを見抜く方法はあるか?

 「いいケアマネジャーの見分け方を教えてください!」

 です。このケアマネに本当に任せて大丈夫なのか、見分けが付くなら、ダメなケアマネとは早々に契約を打ち切って、別の人を見つけたい。でも、その人もダメだったら……。

 この疑問には、皆さんの予想通り「百発百中」の回答はありえません。その人の能力に加えて、人間関係、相性の要素が多分にあるからです。

 ただ、逆に考えれば、人間関係や相性、つまるところお互いに信頼を得る・得られることができれば、能力的には並みでも、抜群の関係性を築き、思っている以上に活躍する、ということはよくあります。これ、ご自身のお仕事でも、部下や上司と経験されたことがあるのではないでしょうか。「この人の下だと、思いっきり働ける」みたいな。