全4621文字

 このコラムでも繰り返しお伝えしていますが、包括とは、家族で介護を「始める前」から接点を持つことが重要です。

 高齢の親を持つ家族は、包括と連携して介護予防の健康体操や地域独自の高齢者見守りの取り組みなどの情報を収集しつつ、いざ、となった際には最初から外部サポートを頼ることが、親にとってスムーズな介護生活への移行と、穏やかな生活につながります。

 なぜか。最初から外部サポートを頼らず家族が直接介護を始めると、親の側にはよくない意味での家族への「依存」が生まれ、家族の側にも「親は自分が面倒を見ないと」という依存が生じます。こうなると、外部の力を頼ること自体に心理的な抵抗が発生します。

 介護は体力気力を大きく消費します。客観的に見られない自分の親ならばなおのことです。最初は何とか対応できても、作業量が増えていくと家族では対応できなくなります。そうなってから外部サポートを頼ろうにも「これまで通り家族にやってもらいたい」と親が強く拒否すれば、なかなか「それでも」とは言えません。疲れ切ってしまうまで家族が介護を続けたとしても、無理を重ねた家族の介護では、親にとって穏やかな生活とはなりません。

 早期に包括を活用する機会を失うと、外部サービスの導入が後手後手になっていきます。家族が施設に入れようとすると、親は「子どもが私を見捨てようとしている」などと誤解し、家族関係が崩壊しかねません。最悪の場合は、介護している人が倒れて、極限の状態から強制的に外部サービスが入ることもあり得ます。

外部の助けを借りる効果は、理性では分かっているのだが……

 優秀なビジネスパーソンであれば、「異分野・異業種」に進出するならば、専門家の力を借りて早期に問題解決することが重要だということがお分かりだと思います。

 「要介護者に関わる介護は、他人でなく家族で行うべきだ」という質問に対しては、「まったくそう思わない」が19.3%、「そう思わない」が56.4%、つまり、7割以上の人が「家族だけで介護を行うべきではない」という認識があるようです。

 一方で「介護を自分の手で行うことは親孝行になる」という質問には、「そう思う」が56.5%、「とてもそう思う」が8.3%と、6割以上の人が「親孝行=介護を自分の手で行うこと」と考えていることも分かりました。

 「親の介護も専門家の力を借りるべきだ」ということは分かっている人が大半なのです。しかし、自分で介護したいという思いも強い。まして親にそう望まれたら……。

 この矛盾や、包括を初めとする介護機関やサービスを知っていても「利用したことがある」人が少ない原因は、“親孝行の呪い”によって包括へ相談するまでの心理的な壁が存在するためだと考えられます。

 親孝行の呪いは、「親(の介護)に対してはこうするのが当然」という、深いレベルでの思い込みです。そこで、より具体的に分解してみましょう。「こう考えていたら、あなたも呪いがかかっている」と考えてください。