これが仕事ならどうするかを考えよう
ビジネス的に考えれば正解を出すのは簡単です。
まず、現場と会話して、どのくらい、どんなふうに困っているのか(あるいは困っていないのか)を理解し、その上で、可能な選択肢を探る。実に当たり前の話です。
個別相談でも「デイサービスの利用を自粛すべきでしょうか?」というご質問に、「実際に、デイサービスの相談員さんやケアマネジャーさんに『自粛した方がいいですか?』と相談しましたか?」とお伺いをすると、「いや、私の判断だけですが…」とおっしゃる方がほとんどです。つまり、利用者の家族として、無意識のうちに遠慮をしてしまっているのです。
あなたの部下がミッションを進めないので、ヒアリングしたら「取引先が忙しそうで……」と返してきた。当然「状況はどうなの、聞いてみた?」と尋ねますよね。「いえ、忙しそうなので電話も遠慮しています」と答えたら、これは叱責せざるを得ません。同じことです(あ、これは例え話です。私はご相談いただいた方を叱責などはしませんので、念のため)。
ケアマネジャーや介護事業者とコミュニケーションを取ることで、「週4回通っていただいたデイサービスですが、スタッフが払底してしまって、少ない人員でも対応できるように週2回にした上で、改めて生活支援の手段を検討していただくことにより、サービス利用を自粛した影響を軽減することができます」といった、擦り合わせを行うことができます。また、皆さんが過度に自粛せず、通い続けていただくことは、デイサービスを経営面で応援することにもつながります。もちろん、被介護者のご両親にもメリットがあります。
とはいえ、現場が忙しくしていることもありますので、まずは介護計画(ケアプラン)を作成しているケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談して、現場の状況をつかむことをお勧めしています。
コロナをむしろチャンスに変えて
そもそも、ケアマネジャーと細かなことまで相談して信頼関係を築いていた方が、介護サービスを受ける本人の思いを大切にした、安心して任せられる介護体制づくりをスムーズに進めることができます。
言い換えれば、この世界的な緊急時に、あなたが介護についての不安をケアマネジャー(や、介護関係者)に相談しづらいのであれば、それは、「親の介護を人任せにしている」ことへの罪悪感が相当強いということ、かもしれません。
ならば、このコロナ禍をこそ機会に、「今、不安に思っていること」を相談してみてください。熱心なケアマネジャーであれば、緊急事態下での利用者やその家族のことを心配しているはずですから、遠慮ばかりしていたあなたがようやく心を開いてくれた、本音で話し始めた、と、内心喜んでくれるはずです。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「介護生活敗戦記」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?